海外専門雑誌(Stadt und Grün) の内容概説です。昨年2016年の「都市と緑」の3回目です。3月ー4月号の内容について解説します。
以下はその雑誌の記事、報告の概要を書き示しました。
3月号
記事;2017IGA ベルリンにむけて(2017.4.13-)、100ha 6000㎡の水辺の遊び場、230万人予想(1/3ベルリン、ブランデンブルグ 1/3;150km圏内、 1/3;それ以外外国も含め(整備状況)2016-2017;建物関係、遊び場関連2015年に完成、2015年秋以後は植物(バラ6000株、低木。花木35.000株、2017年春までに草地緑化完成、IGA中央入口(Kienbergpark)に1000.本以上の白樺、ミズナラの林(Baumhain)完成、10人の建築家が造園業者とタイアップして120㎡の庭展示“Haus- und Privatgarten”,サツキやツツジの植栽と300.000株球根類定植(2016秋)とあります。今年2017年の半年間、ドイツの首都ベルリン郊外で国際庭園博覧会(IGA)が開催されます。ドイツへ旅行をされる方は是非、この庭園博をご覧いただきたいと思います。周りには高層住宅、中低層住宅、戸建て住宅区があり、会期後はその人たちに重要な都市公園になります。
【報告】
1.Gehölzverwendung bei Peter Joseph Lenne Clemens Alexander Wimmer
Eine Annäherung mit Schwierigkeiten
P.J. Lenne の庭園作成と樹種選択・デザイン
C.A.WimmweはPozdam在住の庭園史家、Lenneが植物について図面など史料・資料を用い説明、Lenneの著作が少ないことを6つの要因から説明。
1)レンネ自身に書いた物が無く、マグデブルクの植栽計画に関する公表は無く少しの記述に限られている。2)植栽表示記述は構想に限られ、植栽計画は例外的にあり、彼の時代それは必要とされなかった(G.Meyer)、3)個々の点についてはLaut Hermann(1815-1890)に任せ、当時は同業者が計画、実施していたと考えられる。4)植物リストは僅かに存在し、印刷したカタログは州の植木業協会にあるくらい、レンネの計画の実際がその時代に使われていない。5)施設の現状の植栽には僅かにレンネの物が見られるが時代的に同じか不明。6)レンネ自身が色々な計画で植栽について色々な考え方があり、詳細は明らかでない、とされている。Georg Kuphaldt(1853-1938), Hermann Jaegerはレンネは造園家Gartenkunstler)で特段重要な個々の専門的技術、知識を持っていないし、考え方をよく変えていた。
ここに登場した専門家達により、1820-30年代の関係資料(図面など)から分析している。
Magdeburger の庭園植栽について歴史的に考察。関係した造園家の説明と合わせLenneの所業を述べている。
2.Ökologisches Pflegemanagement von Staudenpflanzungen Karl Hillebrand
Erfahrungen im pannonischen Gemeindegrün Petrnell-Carnuntum
“Pannonisches Gemeindegrün”、Wien大学造園学科が「町村の緑;Gemeindegrün」を2010年から研究。”ウイーン・ブラティスラバ間にある1200人の町で実験。道路沿道、公共空間に於ける開花性高草丈植物による緑化の適応種を探し出した報告
3.Vom Sinn und Unsinn der Splitt-und Schottergäten Karia Krieger著
Ein unansehnlicher Trend macht sich in Deutschlands Vorgärten breit
自然石(砂利)を含め人工素材による垣根や植栽ベットの比較。どちらがより自然や景観によいか、について検討。
4.Einsatz von Staudenfluren im öffentlichen Grün Jana Schultze著
Transparenz über kosten schafft Plannungssicherheit
1月号1番目の論文と同じ人の報告で、公共の緑のあり方、維持管理と経費について考察している。
5.Wildbienen und Wespen auf Gründächern Rolf Witt著
Ergebnisse einer Studie aus dem Jahr 2015
. 野生密蜂、アブなど(ドイツ全土で561種)360種(NS州)について、いろいろな屋上緑化に伴う植物とそれに集まる蜂類の報告。
- Potenziale von Stauden in der Vertikalbegrünung Henning Guenther著
Ergebnisse eines Forschungsprojektes zu Grüner Infrastruktur
Grüner Infrastrukturプロジェクトの結果報告、傾斜角80°の傾斜面(1,5㎡の箱;6区画、40種の植物導入し)の緑化法結果について報告。
- Wie kann Biodiversität im urbanen Raum gefördert warden?
Ein Beitrag zur Diskussion um Forschungsbedarf
大都市圏における生物多様性とは、どの様に対応できるか、すべきか。
研究の必要性についての討論。
- Wiedergewinnung der Englichen Partie im Rheinsberger Lustgarten
Mathias Gebauer著 Eine Biotopumwandlung im Gartendenkmal
文化財的庭園における生物多様性対策(ビオトープ再生)
プロイセン・ベルリン庭園支援機構(Stiftung)がラインスベルガー庭園・イギリス庭園区の植生を生態的に調査し自然再生型の湿地植生に変更し成功した事例報告(1773-1816-2015)。
4月号:
記事 2016はレンネ年であったためP.J.Lenne の記事が多い。レンネ没後150年。ポツダム市におけるレンネ関連事業(プロイセン・ベルリン庭園支援機構(Stiftung)は彼が26歳で造園家(Gartenkunstler)としてポツダム市に来てから200年。彼の業績を忍んで行事を開催。
レンネに関する12項: ①彼はその時代、有名なGartenkunstlerであった。②彼はイギリス風景式庭園(englicher Garten)を造り上げた、③彼は偉大な都市計画家Stadtplanner)であった。④彼は常に市民生活の中で公園、緑地、庭園を意味づけた。⑤彼は庭園学をパリのガブリエルテョインで学んだ。⑥ラクセンブルグ時代、彼は帝国造園家(kaiserliche Garteningenuier)であった。⑦彼は1816年ポツダム市に招聘された。⑧彼はドイツで最初に造園学学校を造った。⑨彼はドイツ最初の造園家協会(現在のDGG)会長である。⑩彼は1823年最初の造園局長になった。⑪彼は1854年帝国造園局長になった。⑫全ヨーロッパにおいて300の公園・庭園を造った。
本号は庭園博に関する記事が多い。これまでの庭園博会場およびこれからのIGA(国際),BUGA(連邦),LGA(州)の庭園博の在り方、現状について掲載されている。
Bad-Lippspringe(保養地)は2017年のNRW州の庭園博開催市、会期は4/12-10/15。
33haの2会場、
【報告】
1.Landesgartenschau in Bayreuth am Rosten Main Inge Hahn著
Ein spannungsvoller Landschaftpark zwischen Stadt und Eremitage
バイロイト市(ニュルンベルク北)、ロステンマイン川沿岸の市におけるバイエルン州庭園博について。会場は40ha、バイロイト市内から近いエレミタージェ、ロスターマイン河畔の公園地区。洪水調整池機能を併せ持つレクリエーション公園として創出。
- Sanierter Hofgarten und neugestalteter Landschaftspark
Johannes Czerniejewski著
Farbige Stellen kündigen Landesgartenschau Öhringen an
オーリンゲンのバーデンヴュルテンベルグ州庭園博会場について。修復された宮廷庭園と新設なった公園を解説している。
23000人程の町を流れる小河川オールを中心軸として、都市公園や教会中庭庭園を核とした緑の軸整備(庭園博会場造りコンセプト)の庭園博会場。5年間掛けて都市再開発し(河川改修、堤防改修、公園緑地整備など)会場整備についての報告している。
- Entiner Landesgartenschau mit Neuentdeckungen am See Vera Hertlein著
Städische Uferanlagen verbinden Stadt und Landschaft
オイティナーの州庭園博会場における新しい試み;市街地と郊外を結ぶ水辺プロムナードの報告。
第3回シュレスビッヒ・ホルスタイン州の庭園博開催(オルティン市)。27haのエイティン河、河畔、湖を含む会場。市内と会場を結ぶ新たな公園緑地の整備について、
- Internationale Gartenausstellung Berlin 2017 Sibylle Esser著
Wohnen an der Pheripherie Berlins wird mit der IGA attraktiv
国際庭園博(IGA)2017はドイツの首都Berlinで 会期を2017.4.13—10.15として開催される。会場の敷地は100haにおよび、会場の Marzahn-Hellersdorfはベルリン市東部に位置する郊外住宅地区。中国庭園は既に2000年に建設されている。
- Bunesgartenschau Heilbronn 2019 am Neckarbogen; インタビュー記事
Gätenschaupark und Stadtausstellung initiieren ein neues Quaritier
会場の敷地100ha、10年間Experimentierfeld 新規の緑地、
会場担当はHanspeter Faas氏、2019年の連邦庭園博会場はハイルブロン市(ネッカー河河畔)で、その設計、建設、計画などについて解説している。
- Wiener Internationale Gartenschau 1974 過去と現在 Christian Hlavac著
Herausforderungen für die Pflege im heutigen Kurpark Oberlaa
ウイーン国際庭園博(1974)の20年後の状況、これまでの維持管理と現状・課題について。
- Futuristische Formensprache noch fragmentarisch vorhanden
Harketa Haist著
Die Bundesgartenschau 1967 in Karlsruhe
1967年のカールスルーエ市における連邦庭園博会場の現状と将来のあるべき像について考察
- “New German Style” Diskussion eines Trendbegriffs
Perennial Perspectives und neue Ideen zur Staudenverwendeung, Teil 1
新しいドイツスタイルとは何か。伝統についての討論。この10年くらいドイツも造園会は停滞の10年といわれてきた。環境配慮、省資源、生物多様性といった時代の今後、造園緑地の分野はどうしていったらいいのか、高草丈草花をどう展開していくかについて検討。
以上のようにドイツでは連邦庭園博、各州の庭園博が毎年どこかで開催されています。財政的な問題があり、州、市町いずれも公共投資の難しさが問題になっており、これは日本も同じですが、ドイツは市民にその意義を問いかけ、地域経済効果やインフラ整備も合わせ継続させてきています。それぞれの市町村がゆとりある安全・安心の生活環境時代、生物多様性の時代に公園や緑地の整備に努力している点は見習うべき点が多々あると思います。