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水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

伝統行事・だるま市

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 達磨大師については以前、禅の展覧会の記事で触れましたが、一般に手も足もない「ダルマ」の置物でよく知られ、庶民の信仰対象として現在まで長く根付いているお祭り、市が「だるま市」です。3月3-4日の深大寺だるま市も日本三大だるま市の一つとして有名とのこと。

 私の住む川崎市麻生区には明王不動院般若坊:麻生不動(別名木賊不動とも呼ばれる)があり、毎年1月28日にだるま市が開催されてきています。その日は天候にも恵まれ多くの来訪者が参拝と「縁起だるま」を求めて訪れていました。普段は何の変哲もない狭い集落内道路ですが、この日ばかりは、さらにこの参道(道幅2-3m?)の両側に各種の露天が立ち並び、通路が人、人、人でごった返し、行き来するのも買い物するのにも大変難儀をする状態でした。

 麻生不動のだるま市は神奈川県下では「関東収めのだるま市」として、古く(18世紀半ば頃)から近在の人たちに知られ、多くの人を集めて来ています。ご本尊は不動明王不動尊信仰は弘法大師空海(774-835)により中国からもたらされ広まりました。像の光背に火炎がありすべての穢れを焼き払うとされ、右手の剣で迷いと悪魔を断ち切り、左手の縄で人を引き付けるという姿をしています。麻生不動尊は火伏の神として信心を集めています。

 市の開始、朝8時には花火の合図が上がって始まりました。出店の2/3は食べ物屋、お昼時には食べ物を求める人と参拝に並ぶ人で殆ど立錐の余地が無く、道は立ち往生の状態。本堂の境内や参道近くには大小いろいろな縁起だるまを売る店(殆ど相州だるま、平塚産)が立ち並び、大声を出して景気付けし客を引き付けます。交渉が成立すると買い手はダルマを抱き、売り手は火打石で買い手の無病息災や家内安全を祈願して「ヨヨヨイ、ヨヨヨイ、ヨヨヨイ ヨ!」を謳いこめます。ダルマは赤色が一般的。なぜ赤いのかは達磨大師の法衣の色が赤だとか、赤色は魔除けであるとか、位の高い人が身に着ける色だとか、諸説あります。ダルマの目は中国の陰陽五行説に関連し、左が「陽」右が「陰」、最初に左目を入れ(開眼)、成就したり納める時(満願)右目を入れると言われています。

 寺には門徒、神社には氏子という集団があり、それぞれ関係する寺社と深い関係をもち、寺院とは先祖代々の永代の霊を祀るとともに家族・親族・親戚から門徒衆までの人のつながりを神とのつながりで結び、神社とは神を祀り崇める氏子として地域社会での慣例、伝統的な習俗を通して人々のつながり、地域社会の団結、纏まり、相互扶助を維持してきました。

今、この永く続いてきた血縁・地縁の繋がりが地域によっては弱くなったり無くなりそうになって来ています。少子高齢化により限界集落では、人のつながりが消えそうになって来てそれまで維持されていた絆が消えそうになってきています。

 都市近郊で新しい転入者の多い地域でも、昔からの小さな寺社の行事開催や運営は難しい状況に置かれています。有名で由緒ある寺社は別として、居住地域にあるそれは限られた門徒衆、氏子の人たちによって細々と続けられているようです。

 伝統にのっとった心のこもった風景、習慣・催しが毎年変わらずこれからも続けられて行くことを祈るばかりです。