水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

我が家の庭の歴史;  身近な緑とは  1

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 小さな面積で大きな緑を作り上げるには、どうしたらよいのでしょうか?

日本の都市では狭い空間に多くの人が住んでいるため、緑を増やすのに大変苦労しています。街路樹一つとっても歩道や車道が狭く、すぐ近くに建物が接しており自由に枝葉を広げ大きな緑を作り出すことは難しいのです。それに落葉だ日陰だ野鳥の塒だと樹木があることのデメリットが槍玉に挙げられます。それでも街路樹を街のシンボルとして育て大切にしている地区も少なくありません。

 植える場所と植える樹木の大きさが問題になります。樹高7-8mにも及ぶ木を植えるには根鉢や支柱にそれなりの広さが求められます。植栽する場所が十分に確保できる場合は問題ありませんが、そうでない時はそれなりに工夫が要ります。

 以前、大学の研究室で卒業論文のテーマを探していた折にこの課題について考えたことがあります。完成した樹木(多くの場合成木)植栽と苗木樹木植栽との関係でした。施工時点を完成とするか、時間が経過して樹木が成長し機能する時を完成と考えるか、の違いでした。後者の場合、植栽場所は大きく広く取らなくてもよくなりますが、前者では2-3倍の用地が必要となります。

 

 1977(昭和52)年、結婚後3年目に100㎡に満たない小さな建売住宅(半分注文住宅)を買って我が家としました。用途地域は住宅地区で建蔽率60%、家の外構を考えると庭は殆どありませんでした。そんな所に樹木など入れる余地は全くありません。でも職業柄、小さくても「庭」は「見本園」的でも作る考えを持っていました。場所は幸い私道脇の「東南の角地」で敷地外の空間に余裕が取れて縁辺部の緑を考えることが出来ました。プライバシー確保として周りの家はブロック塀が殆ど。我が家は外に広く見せ、狭苦しさや窮屈さを出さないため2面を生垣で境とすることにしました。1面は幅1m足らずの段差の上にドウダンツツジの苗木(20cm)を列植、他の面はヒメシャラの苗木を植えました。

 私道から玄関へのアプローチは直接取れば1m足らずですが、わざとL字型にして3mほど、その周辺にサツキツツジの玉物を植栽して終了です。40cm程の段差は拾ってきた自然石や間地石、大谷石の平面を生かして設置しました。

 その外構造園工事を手伝ってくれたのは、当時の教え子の学生諸君(院生や3-4年生;5-6人)で、庭園施工実習さながらに私の指示に従って皆で作り上げました。ドウダンツツジの垣根の長さは5~6m、ヒメシャラの植栽は長さ5m程度、いずれも幅は3~40cm程でした(添付写真)。

 なんともはや、建売区画の絵にもならない、全くの子供の植木遊び場的雰囲気でしかありませんでした。