水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

Stadt + Grün No.6

暫くご案内が滞っておりました海外研究情報、ドイツの造園行政機関誌「都市と緑」(Stadt und Grün)の、その後の内容報告です。前回までに2017年8月までご案内しております。今回は9月号の内容のご案内です。

 公園緑地に多くの歴史的遺産が共存する例は少なくありません。そのような歴史的空間が都市において重要な公園・緑地になって来ていることを、本号は改めてその意味を紐解き、みどりの重要性を考え、喚起しています。昨年(2016)のP.J.レンネ年に呼応して彼の新たな足跡が見つかったこと(トピックス)、新しい取り組みで見直す(報告4や5、7)などがあります。 また、新しい都市緑地、公園帯への取り組みとして国際庭園博(2027)を含めたルール地方の公園の歩みについて報告しています(報告6)。

 もう一つは2014年ルール地方を中心に発生した暴風雨(通称:エラ;Ela)による都市公園、街路などの樹木被害等の修複について報告したもの(報告3)です。

以下に報告の概要を書きました。

 

Stadt + Grün  9月号の内容

トピックス

プロイセン造園家、ペーター・ヨセフ・レンネ(Peter joseph Lenne)の最も古い最初の造園的作品が見つかった。ベルリン工科大学、都市および地域計画研究分野、文化財保存研究室(Fachgebiet Denkmalpflege der TU Berlin)のSylvia Butenschön さん

庭園文化史(;特に都市の公共緑地の歴史)を研究中です。

 ヨーロッパの都市公園史研究の中で。これまで1815年のWienにあるLaxenburger Schlosspark(ラクセンブルグ城公園)が彼の最初の作品とされていた。

王立美化協会(königlichen Verschönerungs-Kanzley zu Pest 1813)

1813年ブタペスト(ハンガリーの首都)の都市公園競技設計(Wettbewerb)に若い臨時造園師(junger arbeitsuchender Gärtner;初めての造園家)として参加。100haの公園の部分に小さな林(Stadtwäldchen)や曲がりくねった径(in weich geschwungenen Bögen)などがLenneの証としている。 

ドイツの墓地情報: 1/3がキリスト教団所有 (12.400/32.000)内訳8.800はプロテスタント、3.600はカトリック。キリスト教団による墓地はドイツの北部、東部それにバイエルン州では重要視、宗派による色々な状況の違い。各州、地域、町で有り様が異なっている。市町村は法的に亡くなった住民にたいし墓地を準備し対応しなければならない。

 

★ミュンヘン工科大学とフランス;テュリスドルフ大学で姉妹提携校10年。2007年最初の両国の造園資格卒業生が出た。 

★ドイツ造園部局長協議会(Gartenamtleiterkonferenz)協会10周年

協会発足と歩み、これまでの取り組みと成果を報告 

★ドイツ庭園・造園図書室が名称変更し、ドイツ造園図書ビブリオテークとなった。

 

★FLLが都市及び広域都市圏での異常出水(豪雨や洪水)の対応にたいする指針(Regelwerkausschusses)を緑化技術、建設緑地サイドから作成;雨水対策(Regenwassermanagement)

 

【報告】

  1. Die Kinden-Allee zur Plassenburg am Kulmbach

  Uber ihre Entwicklung und Behandlung im Verlauf von 280 Jahren

Kulmbach Plassenburg間の菩提樹並木;280年経つ並木の発展史と取り扱い史

 著者:Reiner Herzog (2012までバイエルン州城跡庭園管理局局長)

 文化財としての街路樹(ヨーロッパ菩提樹)18-19世紀の姿、第一、第二次大戦中、

Kulmbach ~Plassenburg間の菩提樹の並木、1797年、1816年、色々な時代に色々な人が話題に取り上げ賞賛している。歴史的、伝統的取り扱い方を報告。

 2.Bewegung und Lebensfreude in Bad Pyrmont

   Entwicklung des denkmalgeschutzten kurparks

Bad Pyrmont保全の価値と意味、その発展過程と保養公園としての文化財保護

    著者:Michael Maekler maekler@staatsbad-pyrmond.de

 ヨーロッパ随一の歴史的保養施設・公園(Kurpark)としての評判、17世紀に既にFürst Friedrich zu Waldeck Pyrmontとして造られた。1717年の古地図には中心的並木(Hylligen Born;当時1000歩の散歩、現在でも500歩の長さ)が示されている。

1790、1886、1949各年の改修で並木の長さ、2400m。2列植栽、6m間隔の植栽、1904ヤシの庭、1930年シャクナゲの径、1912年12本のヤシ。その後500本、50種のヤシをイタリアから導入。Dieter Hennebo教授(元ハノーファー大学教授)が文化財庭園の発祥者。

Refugiumの改修計画(2006)としてアジア的植物の導入。日本の樹木?の植栽(2007-2008)竹や銀杏?石庭と池

3.Wiederherstellung der historischen Parks in Düsseldorf

  Nach Orkan Ela wird in den Anlagen nun nachgepflanzt

  著者;Silke Thyssen silke.thyssen@düsseldorf.de

2014年6月9日、ドイツ中西部、ルール地方をおそった強風(暴風雨)Elaは地域に膨大は被害を与えた。3年経ってもまだその全容は明らかでないが、特に歴史的公園に於ける高木の倒木被害は大きい。およそ330万ユーロ、市民の支援の声で財政的支援を受けた。関係団体(自然保護も含め、各種の歴史保存団体)の支援を得て補植された。

27haのHofgarten(18世紀からの町中、旧市内の緑地、樹木、古木など)Rheinparkの保全経緯、20世紀の初めからの動き、1904年の国際博、戦後の動きなど。

2014年10月にElaプロジェクトグループ発足、2017年春までに670万ユーロの植栽資金で街路樹、公園内樹木植栽され、さらに2020年までの財政支援計画がある。 

 4.Der Gutspark in Hohendorf

   Instandsetzung eines gartenkulturellen Erbes 

   著者;Martin Jeschke  m-jeschke@web.de

Hofendorfの歴史、歩み。位置はVorpommern-Rügen郡にあり、Gross-Mohrdorf市に属する。城の歴史は1321-Witzlaw Rügen地域の領主 1733年以降はKlot-Trautvetter家の所有。1854年所有者により古ネオゴチックスタイルで建てられる。DDR時代は養老施設として利用。ドイツ統一後、昔の所有者が買い戻し修復、建物は1993年450万マルク修繕費。ホテル、レストラン、2016-2017年から33軒所有の分譲住宅として利用、音楽堂、事務所として活用。2016.6.17レンネシンポジウムでノイブランデンブルク大学によりP.J.Lenneの所業として話題にされた。

周辺庭園の公園化。P.J.Lenneは王立プロイセン州庭園局長(Generaldirektor der königlich-preussischen Gärten)、公園内の樹木管理、どの時点の植栽状況にするか?維持管理法

5.Frankfurter Huthpark  

   Nach einem Jahrhundert gereift und saniert 

   著者;Thomas Herrgen  t.h.l@online.de

フランクフルト市にあるHuthparkについて。100年経過した公園の歴史と維持管理。

文化財的価値を持つHuthpark、19-20世紀の間、特に第一次大戦後、都市の緑の近郊レクリエーションとしての重要性。フランクフルト市の北部、1910年~1913年にかけて出来た。戦後多くの人がフランクフルト市、近郊に住宅を建て住む。当時の公園局長(Carl Heicke 1862-1938) 

市のコンセプト造る。18.2haの公園。 2009年以降、再生プログラム。100周年を記念して。

6.Grüne Inseln inder Industrielandschaft 

    Zur Geschichte der Stadt- und Volksgarten im Ruhrgebiet

  著者:Wolfgang Gaida gaida@rvr-online.de 

ライン地域の都市公園と昔からの代表的な国民公園(Volkspark)について。その歴史と歩み、1910年のエッセン公園の図あり。デュイスブルクからハムまで東西に並ぶ工業都市の都市再生と公園緑地整備について。各都市に於ける都市公園、Kaiser-Willhelm 皇帝記念公園など

7.Der Müseumsgarten der Kunsthalle Bielefeld  

   Vom Stadtgarten um 1900 zum modernen Skulpturenpark

  著者:Anne Steinmeister   a.steinmeister@gmx.de

  ビーレフェルト市における都市の公園緑地(1900年の都市公園から近代の彫刻公園まで) 

博物館の庭と文化センターの歴史的歩みと周辺公園について

8.Wenn die IGA kommt und ein Park integriert wird

  Garten der Welt/IGA Berlin 2017

  著者:Beate Reuber、Sibylle Esser   esser@bundesgartenschau.de

今年(2017)ベルリンで開催されたIGA Berlinについてのインタビュー記事、IGA2017Berlin の様子について報告。

 

10月号以降は、また乞うご期待。

 

 

 

 

 

 

 

  

  

 

 

 

 

 

 

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