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映画「空海」を見る

   東宝×角川の共同製作による映画「KU-KAI- 空海」、原作は夢枕獏沙門空海唐の国にて鬼と宴す;角川文庫)、監督は:陳 凱歌(チェン・カイコー;カンヌ映画祭パルム・ドール、ゴールデングローブ賞受賞などで有名な中国の監督)日中を代表する実力派有名俳優による活劇大作である。

 題名「空海」に引き付けられて、ロードショウ開始早々に期待をもって見ることにした。映画を見終わっての第一の感想は、「う~ン・・・・」。

 娯楽時代劇映画、豪華エンターテイメント活劇として見れば面白く楽しめる映画であった。空海と白楽天が妖猫出現とその妖術を使う謎を解き明かす内容で、豪華なセットや時代描写、特殊撮影、時代背景を取り入れたストーリはそれなりに面白く作られていた。映画と歴史的事実は別のようでもある。

 空海と白楽天が黒猫妖怪の起こす奇妙な事件に、これまでの王室の歴史を重ね合わせ探り辿って楊貴妃の死霊がついて回っていることを突き詰め、怨念を明らかにする物語。玄宗皇帝、傾国の美女楊貴妃と彼女に密かに心を寄せる日本からの遣唐留学生安倍仲痲呂、稀代の詩人李白等が登場する時代絵巻。史実とフィクションが入り混じり、特殊撮影やCGを使った娯楽大作ではあった。 

 

 これまで「空海」で知っていたことは、遣唐使として唐へ渡り、真言密教を中国で学び日本に広めたこと、弘法大師として全国を歩き回り仏教(真言宗)を広めたこと、書に秀でていて奈良時代の三筆に挙げられていること位であった。

 空海最澄と並び、唐の時代に中国で真言密教を学び日本に仏教を伝え広めた人として知られている。最澄天台宗空海真言宗の開祖として知られ、それぞれ比叡山高野山修験道寺院・伽藍を開いている。讃岐・善通寺にうまれ京に出て諸寺で多くの学問を学び30歳で遣唐使の留学僧となり、普通留学期間20年の所を僅か2年で学び納めたとされている(同行者には最澄、三筆の一人橘逸勢もいる)。

 当時、東シナ海の航海は容易でなく、暴風雨・嵐に遭遇し度々航路を外し目的港に達せず他の地に漂着したり、途中遭難して海の藻屑になることも少なくなかったようである。空海渡航は瀬戸内を通り九州博多、備前国五島列島など島伝いに航行、大陸の東岸、南岸の港に至る2-3ヶ月かかる大航海だったようである(30歳)。そんな時代、留学僧空海は幸運にも恵まれ幾多の苦難にも耐え、時の都、長安に着き密教の第七祖・恵果和尚から密教の教えを受け階位をうけている。2年間の修行を終え、恩師恵果が入寂後帰途に着き、いろいろ苦難に遭遇しながら帰国(32歳)、大宰府に留まり教えを広めたとされている。 

 空海の言葉「虚しく往きて実ちて帰る」若くして唐の都長安に上り、辛難困苦を経て真言密教の教え、思想、修法を会得し多くの経典を携え日本に戻り、以後、時間を掛けて教えを全国各地で広め満60歳の今日(921年3月21日;彼岸中日;春分の日高野山で入定している。

 空海真言密教道教仁和寺御室派、高野山、魔術(幻術・妖術・呪術・祈祷師)、陰陽師、安倍清明東大寺建立、鑑真和上、吉備真備菅原道真

 

「みほとけの彫像」を見てから知らないこと、知らなかったことが多いことに気付いた。他の史実や歴史、由緒ある土地を見て歩くことに大きな興味がわいてきた。友人は別の視点から長崎五島列島の旅に出て現存する旧い教会の素晴らしさを教えてくれた。空海が唐への旅の途中、行き返り五島列島に足跡を残し、史跡があることも興味を持たせる点である。船しか交易の手段が無い時代、島伝いの拠点・五島列島は、近く世界文化遺産に指定されるようでもあり、それを機に訪れたいと思っている。