水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

展覧会巡り   15  春の院展を見る

 

 

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    平成30年4月、関東ではソメイヨシノの一重桜が終わり、里桜も折からの強風に花を揺すられ花吹雪になっています。木々の若葉が柔らかな萌黄色で彩り始めました。遠く近く透けて見えていた森や林の景色も緑のカーテンに包まれて身近な風景がはっきりしてきました。「目に青葉 山郭公 初鰹  :  (山口素堂)」の句の季節近しですね。

 日本画の代表的な展覧会、春の院展日本橋三越で開催されました*。縁あって画家・倉島さん(同人)からご招待を受け、今年も展覧会(公募展)に足を運びました。今年で73回を迎える公募展、今年も応募数811点、うち入選作327点で3会場に分かれて展示される状況でした(同人の作品数35点は別)

 今回のような公募展で絵を見る時、それが洋画でも日本画、彫刻でも自分の気に入った絵・作品を見て回り鑑賞してきました。作品のモチーフ、色合い、画面構成などいろいろな視点から気に入った絵を探し、その情景、雰囲気、作者の感情に思いをはせて見て歩く面白さ楽しさが良いのです。そんな気分の2時間でした。

 どうしても自分の気持ちや性分から、色々な風景や動植物の作品に目が止まり感情移入したり制作状況を類推して楽しんでいます。作品の表題は、作者の絵に対する気持ちを表すので大変だろう、と思いますが的確な表題名を付ける難しさも感じられました。

 院展の同人(35名)の作品は当然ながら、入選作の中で自分の気に入った作品は色々ありました。作者の名前をメモして(10数人)後で検索したら、どの作者も年配の方々で、これまでにも度々日本美術院展に応募され奨励賞等を受賞しておられる人達(院友や招待)でした**。さすが歴史ある団体であり公募展、作品展覧会だと再確認し、少し自分の眼力にも自信が持てました。楽しい午後の一時でした。

 

 *日本美術院:1898年、岡倉天心東京美術学校を排斥され辞職を機に、下村観山、横山大観、橋本雅邦、菱田春草、六角紫水らが会を創設、以後、1905年には天心が茨城県五浦に別荘を造り、新しい日本画を模索し、天心はじめ上記の日本画家たちが活躍しました。東京に移った日本画家たちは大正2年(1913)の岡倉天心没後、それまでの日本美術院を再興し、翌年(1914)10月には日本橋三越本店で「日本美術院再興記念展覧会」が開催され、2014年には再興100年記念展も開催されています。

  岡倉天心の五浦堂は以前、国指定の登録文化財であり、日大造園学研究室に教授として在職されておられた吉川 需先生が、この邸の修複にも関係されておられました。(先生は日大に来られる以前に文化庁記念物課で全国の名勝旧跡・庭園はじめ文化財周辺の環境整備にも深く関わっておられました)。

**私が気に入った絵の作者は、石村雅幸、大島婦美枝、加藤厚、河本真里、佐々木啓子、沢村志乃武、白井進、谷善徳、中神敬子、安井彩子、吉澤光子でした。