水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

展覧会巡り   16   光琳と乾山

 4月にしては暑い日となった20日、以前に訪れた根津美術館尾形光琳・乾山展を見に行きました。尾形光琳と乾山は性格の違う兄弟だったようで、どちらかというと放蕩的な兄光琳、質素で物静かで思索的な弟乾山と言われています。兄は稀代の日本画家、弟乾山は陶工・絵師として知られています。今回、この兄弟の作品を中心に特別展が開かれており、早速見に行ってみました。

 光琳の作品は国宝・燕子花図屏風を代表に14点、乾山は皿・向付・碗など24点、書画18点、それに兄弟で作成した(乾山が皿を作り光琳が絵を描いた)皿などが6点でした。

 光琳の6曲1双の燕子花屏風は、国宝で以前も見ましたが、やはり金地に花の青色(藍色)、斜めの構図など見事でした。ちょうどこの美術館の庭*でカキツバタ(杜若)が池の中で咲き始めており、入口でこの日の開花状況を写真で見せていましたが、国宝の屏風絵では実物より数段大きくダイナミックに描かれており、見る者を圧倒する迫力でした。他に金地では中国を題材としたもの(墨絵や墨絵に淡彩したもの)など小品の軸絵でした。

 乾山の焼物では、兄弟で制作した銹絵角皿(5) と火入(1) が一堂に集められて展示され(通常は6つの美術館それぞれ1つづつ所蔵)この機会でしか揃いで見られず見事でした。こちらも花鳥の他、中国から題材・モチーフをとったもの(寿老人図、寒山拾得図、竹、梅、牡丹、楼閣山水図)でした。

 乾山の焼物では銹絵の角皿、色絵の向付が中心でしたが、日常的な器の大きさや形でしたので、余計に親しみや興味が湧き、江戸時代の作品と思えないところが不思議な点でした。

 乾山というと色絵の鉢物が念頭にあります。昔、わが家で父が大切に所有していた菓子鉢にやや大柄の紅葉の葉柄(三色;赤・緑・黄)のがあり、乾山作ではないかと話題になったことを思い出しました(本物であるはずが無いんですが)。角皿の縁に描かれた文様など手書きの良さ(太さや色合いやデザイン)にも見惚れてしまいました。

 他に、乾山の小品が数多くあり、着色墨書、墨画墨書が殆どでしたが、大変味のある作品が多くありました。作品には大胆なデフォルメ、抽象化、省略と誇示が現れており自由な作風、作品に見とれて、時代を感じさせない今日性があると感じた展覧会でした。

 終了後、美術館の庭を一巡り。地形を活かした大きさを感じさせる回遊式の庭で、茶席も多くあり、また中国、朝鮮などから蒐集された石造物(灯籠や塔、置物など)が庭の随所におかれていました。四季折々の木や花がそれらを引き立たせる形となり今に生かされていました。池の周りには多くの紅葉や楓が新緑の美しさを見せていました。紅葉の季節には、また違った美しい庭園の姿を見せ、それに合わせて特別展が開かれることでしょう。

 

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