水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

外来生物との付き合い方

 先日、9月11日読売新聞の国際ページに街角ノートという欄があり、「悪役」ザリガニ名物料理、という記事がありました。冒頭の一部を再録してみます。

 「外来生物」への対応に苦心しているのは、世界中どこも同じ。ドイツ・ベルリンでは、公園の池で販促するアメリカザリガニの生態系への悪影響を懸念した市当局が今春、食用の捕獲許可を出した。地元レストランで売り出され、新たな名物料理となっている。 

 このアメリカザリガニ(学名;Procambarus clarkii ;エビ目・ザリガニ下目・アメリカザリガニ科、私の幼少時代(昭和30年代)子供仲間で田んぼや水路、川端で捕まえ茹でて尾部を食べた記憶があります。茹でると殻が瞬時に真っ赤に変わるのに驚いたものです。地域によって今も食されている所もあるでしょうが、都市近郊の水辺では殆ど捕まえることに興味や行動はあるのでしょうが、食べることは殆ど無いと思います。

 アメリカザリガニとは別に日本固有のニホンザリガニ(学名;Cambaroides japonicas)がありますが、1927年にウシガエルの餌用として外国から持ち込まれた後、アメリカザリガニが一般的に「ザリガニ」と言われているとあります。

 アメリカザリガニは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」では要注意外来生物に指定され、飼育・販売が規制される特定外来生物ではありません。

しかし、水草(中には希少な水生植物)を切断したり水生昆虫(トンボのヤゴ等)を捕食するため駆除すべきだと思います。

 ザリガニに関する情報として、ドイツ・ウエストファーレン州では河川に生息する在来種( Astacus asutacus, Austropotamobius torrentium)と外来種Pacifastacus leniusculus他)の間でカニペスト(Krebspest)により生息域や生息数に大きな変化が起こっていることをe-DNA調査で明らかにしています。日本同様にアメリカから移入した種が拡大し問題化しており、それに対して新しい遺伝子調査で問題の実情を明らかにし警鐘を鳴らしているのは、さすがドイツの環境対応だと思います(私の購読しているNatur in NRW、2017・No.1.26-28)

 

 ザリガニ同様に問題なのはウシガエルLithobates catesbeiana)でしょうか。ザリガニの餌として入ってきたウシガエル(1918年に食用としてアメリカから導入)、かっては食用にもなったでしょうが現在では生息数、生息域が拡大して水生昆虫や甲殻類、魚、両生類など小型の動物を食べ、希少種、在来種を亡ぼす勢いです。2005年に特定外来生物(2015年には重点対策外来種に)指定され規制されています。昨今の人気民放番組 ”池の水全部抜きます” で外来種撲滅作戦をやって、この種も対象にされています。

 また水辺、田んぼといえば、スクミリンゴガイPomacea canaliculata)も厄介な生き物(淡水性大型巻貝)です。これと出会ったのは、私がまだ現役の頃、農村計画の現地調査で岡山地方に行った折、水田の稲の根元にピンクの大きなナメクジ大の卵塊を見た時と、台湾の農村を視察した折、水田や水路いたるところにこの卵塊が張り付いていたのを思い出します。日本ではジャンボタニシと呼ばれており、1981年食用としてジャンボタニシが台湾から持ち込まれたとありますが、今は要注意外来生物、さらに日本と世界の侵略的外来種100に指定されて規制されています。

 

 他にも外来種問題では、魚類(ブラックバス、ブルーギル、タイリクバラタナゴ、ソウギョなど)、哺乳類(アライグマ、タイワンリスなど)、爬虫類(グリーンアノール他)などがあげられます。その多くは食用やペット、釣り、愛玩用の対象として持ち込まれ、取り扱いを間違って野に放たれてしまった結果が現状を招いています。 ドイツでは食用として公園の池のザリガニ捕獲作戦を取っていますが、先の新聞記事の最後の部分を再度、再録します。

 ”公園では市の許可を受けた川魚漁師が、ザリガニを捕獲している。水草をかき分け、茶色に濁った池に腰までつかり、仕掛けた網を引き揚げる。(中略) 市は今後、繁殖状況を確認し、来年以降もザリガニ漁を許可するかどうか決めるという。(井口馨)”

 やはり、堅実に実態を調査し環境的視点や食事情の観点から進める国です。

 

 取り上げた外来生物、どれも当初の持ち込み動機は ”食材・食料”あるいは”ペット”でした。食の変化、好みの変化で食べられなくなったり、飼育され逃げ出したりした結果で問題化してきています。世の中がどうなるか分からない時代、天変地異が起こりあるいは考えられないような事態が起こって食べ物が無くなると、もしかしてこれらを含め増えすぎた野生動物も食の対象になり一斉に無くなるのかもしれませんね。近くの、彼の国の国民食レベルは、皆目見当もつきませんが外来生物などという用語は民衆レベルには無いのかもしれません。

 100歳以上の国民が7万人近くの時代です。敬老の日は100歳以上の方の祝日としましょう。