水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

外来生物 余話

 私の以前の勤め先、日本大学生物資源科学部生命農学科(前;植物資源科学科、旧;農学科)造園科学研究室(前;造園学研究室、緑地環境計画学研究室)にも、外来生物に関係する調査研究が以前からあります。

 その外来生物は、カミツキガメやミシシッピーアカミミガメ、タイワンリス、アライグマ、セイタカアワダチソウ等です。造園学研究室は、本来、公園や緑地、所謂オープンスペースの計画に関する研究をするところですが、私がドイツでその調査研究の視点として野生動植物の生息空間(ビオトープ保全・保護・再生創出を参考にして以後、我が国における緑地計画の量的研究もさることながら質的研究も同時並行して行う必要があるとして、生き物を対象にしたオープンスペース(OS.=緑地)の調査・研究をし始めたことによります。

 かなり以前から緑地と生き物(動植物種)との関係を考えていました。セミの抜け殻と緑地、クモ類の生息・造網と緑地などがありました。生き物ではカエル(両生類)を指標にして大澤先生が、ネズミ類を指標にして黒田先生が、カメやカエル、カミツキガメ、トウキョウサンショオウオ等を対象に天白牧夫さんがそれぞれ博士論文を纏めました。

 タイワンリスを対象にして鎌倉市内の緑地で生息調査を進められたのは葉山嘉一先生です。 沢山のデータを集められましたが残念ながらいろいろな仕事に忙殺され論文にされませんでした。

 研究室の卒業生諸君の中にも、卒業研究の一環で、これらの生き物(野生の動植物、希少種、絶滅危惧種等)を対象として緑・自然・景観を考え、調査し卒研にまとめた方も少なからずあると思います。希少種・絶滅危惧種を対象としたとき、その減少の原因に外来生物が関与していることも多々あり、注意を喚起した卒研がありました。

 磯部達男、佐藤文俊、板垣一紀、芦澤航、増山貴一、今井洵子、浅田大輔、岡田昌也等々。学生の卒研調査を通して、いろいろな生き物、それと敵対する外来生物、環境要因など幾多の新たな知見を得ることが出来ました。

 現在もこの動きは研究室に流れていて、後輩の学生諸君が少しずつ続けてくれているようです。時代を先取りする研究に頑張ってほしいです。