水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

台風被害

 先日(9/30-10/1)の台風24号風台風だったようで、わが家も夜半から猛烈な風で家を揺さぶられ、屋根が吹っ飛ぶのではないかと心配しました。ドッ!ドッドッ、と間を置きながら猛烈に吹き付ける強風に合わせて揺れる家を、寝ながらに感じ暫くの間、眠ることが出来ませんでした。

 

 朝方、台風が過ぎ去って静かになり、夜が明け空が明るくなってきました。いつもより早く起き出し家の周りの点検を始めました。案の定、目隠し(遮蔽)として台所の出た所を囲っていました葭簀(ヨシズ)は、見事にバラバラに崩れ倒れていました。ポリバケツや植木鉢もあちこちに吹き飛んで散り散り。無残に折れ崩れた葭簀は短く切り刻んでゴミで出せるように纏め、幾らかでも使える部分は残して、新たな葭簀1枚(180cm×180cm)を買い求め、元の形に繋ぎ合わせて遮蔽葭簀を修理しました。壊れたヨシズの整理から修理完了まで2時間。大変な一日の始まりでした。

 

 数日後、校庭の緑管理で関係している日大付属藤沢小学校の玄関前校庭が気がかりで出かけ見てきました。こちらも案の定台風の影響があり、5年前(当初)に植栽しましたオリーブが風で倒されていました。さもありなん、普段の管理が良くなくヤブカラシ、ヘクソカズラ、トコロなど蔓植物が樹冠を覆い尽くし、重く圧し掛かっていました。絡んだ蔓直物を取るのも大変なため、オリーブの上部をバッサリ切り戻し剪定をしました。それからが大変、3m位でサッパリした形になったので、簡単に上げられると思いきや、どうしてどうして。余りの重さに口アングリ。荷造り紐を二重にして支え綱とし、少しずつ引き上げる始末。根鉢を整え、やっとの思いで一人で樹木を元に戻しました(後日談;足腰が痛くてホトホト困っています)。

 このオリーブの根元を見て驚きました。害虫が入っていて、オリーブ自体が虫の息。本当に皮一枚で生き残っている様で腐った部分を取り除きましたが根元全体に及んでおり、駄目かもしれません。昨今、サクラを中心として外来害虫(クビアカツヤカミキリ)の被害が広がっています。カミキリムシに特徴的な幹に入り込み喰い潰し枯らすので、このオリーブの木もそれに因る被害ではないかと思います。何とか助からないかと心しています。

 

 小学校校庭を後始末管理したのちに、学部に回りキャンパスでの様子を聞きました。学部も同様、台風の強風の為、大木が倒れて道路を塞ぎ、通行ができない状況。倒れた樹木は、あの6・7号館西側のヒマラヤスギ1979年入学生から湘南キャンパスで一貫教育に入りましたが、その前から建築整備されていた校舎周りの常緑針葉樹)でした。当時、研究室は東京三軒茶屋現在は日大危機管理学部キャンパスになっています)から湘南に移転が進められた時代で、校舎整備に合わせ、道路に接して並木が造られました(1982年までの4年間は2地区を行ったり来たりの時代)。植えられたヒマラヤスギは植栽効果(建物とのバランス?)を出すため高木並木、既に樹高10m程度あり、樹齢も数十年はあったと思います。植栽されてから40年。数回、剪定はされましたが殆ど当初のままでした。その内の1本が倒れたのです。樹齢はゆうに60-70年以上でしょうか。根元周で1,5-2mはありました(後日、切り口の年輪を見て来て報告します)添付写真参照。

 7号館の3~4階に研究室があった頃は、窓からヒマラヤスギの木の間に見え隠れする富士山を見ていた思い出があります。

 倒れた樹木はどうなったのでしょうか?

 たまたま、キャンパスの緑を維持管理している業者が倒木を小さく(1m長)切断し排出する車に巡り合いました。太さは雄に直径1m以上、数塊載っていました。私は気になって、「その木はどうするの?」と聞いたら「ゴミとして処分するように指示されています」との返事です。私は空いた口がふさがりません、「どうして広いキャンパスなのに残しておかないのか、他にいろいろ考えて再利用しないのか、小中学校や大学の学部(生物資源科学部)の性格、時代特性(グローバル社会、環境重視時代、生態系保全再利用社会、環境エネルギー時代等々)を考えてもゴミ廃棄は無いだろう、と思いました。 (古木再利用 参照)

 例えば、小学校の校庭の一部で自然素材(現場発生材)を活かした遊具として。大学キャンパスでメモリアル樹木として。木材の再利用実習の素材として。キャンパスのどこかに学部モニュメントとして残し利用する考えは出ないのでしょうか。

 しかし、それも後の祭り、学部執行部や関係教職員の中に、再利用まで意識したり動く人、時間的余裕のある人がいなかったのです(残念デス)。

 図らずも業者の人に、「勝野先生みたいな人がいないし、先生みたいにいろいろ考えて言ってくれる教員や職員がいないんだもん」と。

 走り去る運搬車を、やるせない気持ちで暫く見つめ見送りました。直ぐ後で携帯で写真を撮っておくことを忘れたことに気付き、地団駄を踏みました。

 

 かねてから、日本では緑の既存資産(時間)をあまり意識せず、価値を理解せず、切る人より何倍もこの世で生きてきた大木を、何のためらいもなく切り倒し、切り刻み処理することに違和感を持っていません。これまで頼まれた講演では、毎度その重要性を強く言ってきたはずでしたが。

 

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