水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

海外雑誌でのニュース 1

 私の定期購読している専門誌はドイツ・ノルトライン・ウエストファーレン州自然保護・環境保護局の雑誌 ”ノルトライン・ウエストファーレン州の自然(Natur in NRW)です。既にこれまでにも幾つか研究事例をブログに報告してきた季刊雑誌で、先般今年の4号(4/2018)が来ました。

主要テーマは①NRW州におけるオオヤマネコ(Lynx Lynx)の現状、②NRW州における両生類イモリのペスト病 ③工業地帯における水辺再生のモニタリング④農業と種多様性です。その4編の特集報告の前に情報欄があり、興味深いニュースがありましたので書いてみます。

 その一つは2019年の鳥に「ヒバリ;Lerche」が選ばれたことです。

ドイツ自然保護連盟(NABU)とバイエルン州支部(LBV)が、2019年の野鳥に「ヒバリFeldlerche」を決めました。この鳥の選定の背景は、ヨーロッパレベルでの農業政策にも関連しており、同時に農村景観の在り方にも大きく関係しています。ヒバリはすでに1998年にも「年の鳥」に指定されましたが、その意義が十分理解されていませんでした。ヒバリは「上げヒバリ」で示されるように「空高く一直線に上って囀り」、また、冬まき小麦、菜種、トウモロコシの栽培の農地に生息、多様な昆虫類の生息する野草地が減少する中、生息数を減らして来ています。ドイツでは1.3~2百万か所の保護地に生息していますが、過去25年間で1/3に減少、1990~2015年間では38%に減少しているとされています。NRW州では、過去25年間で半減(50%)、凡そ10万のつがいになっており、2016年から繁殖鳥のレッドリストに上がっています。

 このように、ドイツではその年の鳥や樹木、草などを決め(他にタゲリやライチョウ、ミズナラやハンノキ、ボダイジュなど)、保護や保全の対象とし、同時にその生息域、景観、環境を保護する方針を打ち出し各方面で対策を講じて来ています。

麦畑の中に特定の大きさ(4m×2m)の区画(空き地)を作りヒバリの繁殖場所(畑の額縁作戦)とする事例。

 

 日本でも都市周辺の農地や農村の畑地と関連して、タゲリやヒバリが生息・繁殖できる空間(田形や草地)が極端に減少、野鳥の生息域が無くなったり消えたりしています。季節に応じた野鳥の生息、その景観が見られなくなって来ています。

 緑のオープンスペース(とりわけ農耕地)の重要性は、「空地」という空間性と同時に緑の場所(生産と協調した)土地利用の大切さ、自然保護や野外活動の対象として見直すべきでしょう。

これまでにも日大造園研究室では、葉山先生指導の下、引地川や相模川沿いの農耕地でタゲリやヒバリの生息状況を調査研究したことがありますし、境川ではツバメの塒にかんする調査研究もありました。