水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

染付の魅力

 

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 友人から染付の展覧会鑑賞券を頂きました。もともと陶磁器に少なからず興味があり、中でも日常生活でよく使われてきた有田焼などには、昔の郷里岐阜での生活とも相まって、何かと気になる焼き物です。好き物が高じて、以前、研究室の卒業生が九州福岡周辺におられるのを機会に、有田町や伊万里市を訪れ窯元を訪ねたこともあります。

 日常生活の中で陶磁器は、いろいろな場面で使われています。私は、時折、旅の途中で湯呑から皿、茶わんなど伝統的な柄の染付を買い求めたりしていますが、なかでもその青色に魅かれて、有田焼伊万里焼、京焼、などの磁器(染付中国では青花という)を少しづつ買い求め生活の中で使っています(添付写真)。

 今回、そんな背景から大変興味をもって展覧会を見に行きました。展覧会は東京丸の内にある出光美術館**でした。 今回の展示(染付 -世界に花咲く青のうつわー)で、展示品の数は181点、その数の多さと、すべてが出光美術館所蔵であることに驚きました。展覧会は6つのテーマ***に分かれ、時代・国の関連を紐解きながら区分され展示されています(1/12~3/24まで開催)。

 

 この展覧会を見て、あらためて丸い地球、世界の繋がりを知るところとなりました。アフリカ北部、地中海、欧州、中東諸国からシルクロード、中国、朝鮮そして日本。陸路と海路。ラクダや馬、船と星、人々の交易、物資の交流、などいろいろ想いが広がります。

 行く手に広がる晴れた日中の青い大空、青い海原、青黒い夜空に輝く満天の星。「青」に対する人々の思いはどの地でも美しさと新鮮、鮮烈さを表し、人々を魅了したのではないかと思いました。大きな流れは国の強さ、権力とも関連し元や明、清の中国から南へベトナム、東の朝鮮半島から日本へと流れていきます。

 1つ1つの美しさ、染付絵柄の斬新さ、繊細さ、丁寧さ、どれをとっても息をのむ美しさと素晴らしさです。時の権力者の力とそれに呼応する技術者(職人)の魂が、今、魅了する物となって目の前に存在する、この不思議さは何なのでしょうか。

膨大な富と絶大な権力が、あらゆるものの力と技術を結集させ形作る「物=作品」となって作り上げられ、今日まで残ってきています。いまでは使われることも無く、使う人もいない器・物となり、別の形(鑑賞)で人々の前に出ています。見終わるのに3時間、足腰疲れましたが素晴らしい時間を持てました。そのあと銀座に出て美味しい昼ご飯を味わいました(実はこの後、日本橋にある三井美術館で”三井家の雛祭り展”を見たのです・・・・)。

 

 私の周りには身近な器の染付があり、目を楽しませてくれています(添付写真)。

また、いつか、どこかで素敵な染付を見つけよ~っと。 

 

  有田焼、伊万里焼は、豊臣秀吉朝鮮出兵文禄・慶長の役)の後、李氏朝鮮から陶工が日本に来て、その中、李参平が(1610)有田で生み出したといわれています。有田、伊万里地域には良い天然陶石(泉山陶石、天草陶石など)があったこと、伊万里港から海外へ出ていったことも関係しています。

 ** 出光美術館千代田区丸の内3丁目に、日比谷帝国劇場ビル9階にあり、眼下に皇居のお濠を控え皇居前広場から二重橋を越え皇居の緑が望めます。建物の設計は有名な建築家谷口吉郎で、1966年に出来ました。

 *** 1:青の揺籃ーオリエントの青色世界、2:中国青花磁器の壮麗ー景徳鎮官窯と民窯、 3:温雅なる青ー朝鮮とベトナムの青花、 4:伊万里と京焼ー日本の愛した暮らしの青、5:青に響く色彩、6:旅する染付