水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

FNEC 今と今後

 

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日本大学生物資源科学部の付属施設の一つに、富士自然教育センター(FNEC)があります。これまで、植物資源科学科、生命農学科両学科の在校生、卒業生の皆さんのうち、造園学、緑地環境科学両研究室、造園緑地科学研究室で実習を行った学生諸君にとってFNECは、記憶と印象に残る施設です。夏の暑い日や雪の降る寒い2月の実習で辛い思い出とともに楽しい記憶に残っている施設ではないでしょうか。

 先日、久しぶりに施設を訪ねてみました。丁度、造園緑地環境科学実習の平成30年度(平成31年2月)の実習が終わった後でしたし、他の学科の新入生オリエンテーションが済んだ時でした。現在のFNECの建物周りの様子は添付しました写真の通りです。

 宿舎から眺める「富士山」は何一つ変わっていません。FNEC内の様子もそれほど大きな変化はありません。しかし、昔のトンガリ帽子の実習棟屋根や遠く離れた宿泊棟で実習体験をした卒業生の皆さんにとっては、現在の施設の素晴らしさと美しさ、住み心地良さは実感できないかもしれません。

 新しい実習棟(昔のトンガリ帽子の実習棟の改築)は2階建て(1階は実験室、実習室、図書室、管理室;2階は宿泊部屋、シャワー室)になりましたし、宿泊施設もより充実した形になっています(添付写真参照)。

 FNECの玄関周り(車回しの植栽アイランド)にありましたシャクナゲやミツバツツジは一部なくなりましたが、新たな植栽がされています(この部分の植栽は実習でやりましたね)。

宿泊棟(全室富士山の見える3階建て)の東側(富士山側)の植栽も木々こそ大きくなっていますが、殆ど変わっていません。

 プレハブ棟は今、宿泊利用としては使われていませんが現在もあります。園内の緑の維持管理施設・機材も充実していますし、場所、広さは変わらずとも整然と変わっていませんし、環境系の実習教育のための自然素材は、一段と良くなっているように思います。いままで学科の枠を超えて実施されて来ている、フィールドサイエンス実習(2泊3日)では人工林での間伐実習、樹木の移植・剪定実習、土壌調査実習、木材加工実習、バードウオッチング、植生調査実習など自然を対象とした具体的な体験型実習が行われてきました。原体験のない学生諸君にとっては、丸ごと自然の中での意義ある実習です。それ以外にも関連学科での特別な実習(例えば食品生命科学科、暮らしの生物学科など)でも利用されてきています。 

 こういった実もある益もある体験型実習ができるのは、環境時代と言われて久しい21世紀、平成の時代、本当に先見性あるカリキュラムであると誰もが認めてきていますし、この意義は21世紀、令和の時代でも何ら変わらず、否、これまで以上に必要不可欠な科目、カリキュラムであるといえます。園内の自然は実習を通して着実に成長してきていますが、それを計画管理、活用する機関、人の考え方が変わってしまう危険性も無きにしも非ずと思います。

 

 今、これを支える施設の存続・浮沈がかかっている元号の変り目です。今一度、施設、FNECの学生への教育効果、学部の教育・指導理念を考えておくべきであると思いますし、さらにFNEC施設がより積極的に、他学部の学生や卒業生の利用も含め十分に熟慮・検討され、積極的な情報公開が行われ、充実した利用・活用がされることを期待したいと思います。

 

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