水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

国宝 東寺ー空海と仏像曼荼羅 展

 「芸術新潮」、久しぶりにこの月刊誌を買い求めました。その昔、私が東京大学大学院を受験する頃、当時、東大大学院博士課程の院生であった丸田先輩(後に日本大学造園学研究室助教授から千葉大教授になられた丸田頼一千葉大名誉教授)に、「造園を志す者は芸術分野への幅広い知識、教養、意識、理解を持たなければならない」と教えられ、この雑誌を目にし、手にしたことを思い出しました。

 今年(平成から令和に移った年)、京都東寺の秘宝展が催され(3/26-6/2)、芸術新潮も5月号でその記事(東寺:オールアバウト)を特集しています。

 雑誌の特集に先立って3月31日と4月19日の2回、上野国立博物館(平成館)における展覧会に足を運び ”立体曼荼羅”を見ました。大感激しました。

 現地、京都駅近くの東寺は、学生を連れて庭園見学実習で何度も京都をを訪れたことがありましたが、寺院を訪れる機会と時間がなく、塔を遠めに眺めていただけでした。

 前に映画「空海」をみてこのブログに書いたこともありますが、その折には東寺までに考えが及んでいません。今回の展覧会を見て、数多くの国宝仏像があること、それが空海により生み出された「曼荼羅の世界」を現世に立体的に表出されたものであること、は恥ずかしながら全く知りませんでした。

 2枚の曼荼羅図(胎蔵界金剛界)もさることながら、東寺講堂の立体曼荼羅を上野に再現した空間(第4章 曼荼羅の世界)は圧巻。東寺では像を全角度360度、しかも近くから像を細かく身近に見ることができないのに比して、この会場では堂の雰囲気も個々の仏像の表情も見ることができました。菩薩坐像(4体)、明王立像(4体)、持国天増長天立像、それに帝釈天騎象像。どれもその表情に感動、圧倒されました。

 

 怨霊を撃退し平安を祈る場としての雰囲気、祈りをささげる佛の世界を描いた図を作り出した時代(空海が表そうとした世界)、時が下ってその信仰を広く世に広げた時代、そして今の時代とこれからの世。人のの中にある何か、常に変わらぬの何かを1200-1300年変わらず示してきています。それに感動し感激し奪われる人、時代は変わっても人の求めるものは変わらないのでは、と思われる今回の展覧会でした。

 

そうだ、 東寺へ行こう!

 

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