水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

人間って勝手ですね

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 私が生まれたのは、隣の真新しい建物が輝きを放っていたとき。少し日陰でしたが多くの仲間と共に横に綺麗に並んで、建物を引き立てる役割に意義を感じました。

 それから何年たったでしょうか。雨風を防いだり、建物の裾を緑で隠すように、それと硬い感じを幾らかでも和らげようと、美しく大きくなっていきました。

 ある日、突然物々しい機械を持った人が数人やってきて、何かの段取りを話し合っていました。すると、道端の境の方から仲間の胴体を途中からバリバリ切り始めました。

それはほんの1時間余りの出来事でした。2mほどに大きくなって少し太り気味だったのですが、しっかりした緑のスクラムでした。それが、あっという間の出来事で見るも無残な半身姿にされてしまいました、頭がどこかに持っていかれてしまいました。腕がもがれてスクラムどころではありません。冬に向かって冷たい風が骨身に応えます。

 それでも、耐えて生き続けていかなければならないようです。

 

 私はこれまで順調に、真っ青な空に向かって元気に大きくなってきました。眺められる周りの様子は最初、お庭だけでしたが、毎年大きくなるにつれ隣の家の庭、近くの畑や駐車場を見下ろせるようになりました。行き交う人々の様子や空き地で遊ぶ子供たちを見ることもできました。毎年まっすぐ大空へ突き進んで大きくなり、もう家の屋根を越えるほどになりました。お腹の部分の枝葉も太く大きく広がって私らしくなっていました。私が隣の二階家の屋根を越えた、ある夏の終わり、機械を持った人が来て、軒下までの枝を切り落としてしまいました。おなかの部分が「スースー」し始めました。いつの間にか下枝を切られてしまったのです。落ち葉が邪魔になるんでしょうか?陽射しを沢山ほしいのでしょうか? でも幸い私は男の子、実は付けませんのでこのくらいで終わりのようです。でも遠くらか見ると、なんと変わった、妙な、みすぼらしい姿になってしまったことでしょうか。