2月10日(建国記念日イブ)日本大学生物資源科学部湘南キャンパス1号館において毎年恒例の論文発表会「令和元年度卒業論文・大学院研究論文発表会」が開催されました。今年は、これまでにもお伝えしましたように、研究室が創設されてから50年の年で、しかも来月(3月末)をもって2人の先生が大学(研究室)を去られる年になっています。複雑な心境で発表会に参加しました(論文要旨集が発行されています。ご希望の方は研究室にお問い合わせください)。
発表学生は全部で19名(大学院2名、学部学生17名)でした。その研究論文のタイトルは以下の通りです。1テーマを2人で行った研究(12と15)の2題がありました。
4年次生
1) 佐久間友也 ケヤキ並木の歴史に関する研究
2) 中澤 望 新美南吉童話における動物の表現について
3) 須藤 悠大 大石武学流庭園の特徴と魅力
4) 阿島 豊 東京23区における剪定枝処理と再利用の実態
5) 小山田 侑城 三島市の湧水河川における緑地資源の現状及び市民による保全活動
に関する研究
6) 根布屋辰之助 神奈川県内を主対象とした駅前広場の空間構成に関する研究
7) 池田 悠夏 固化土壌を用いた創出型水辺空間におけるアゼスゲ・ハンゲショウの生育
状況に関する研究
8) 大沼 隼 緑によるストレス緩和効果の指標として期待されるフリッカー値に影響を及
ぼす諸要因の解明
9) 柴 美宇 壁面緑化用ヘデラの順化能に関する研究
10) 民部田 晃大 里山型公園の湿地におけるヒメギスの生息実態
11) 横堀 耕季 横浜市本牧市民公園におけるトンボ相の回復に向けた繁茂スイレンの除
去効果に関する研究
12) 渡部 泰 伊豆半島の止水性両生類の分布特性
和田 裕太 同 上
13) 金子 咲季 栃木県那珂川町における里山林管理継続に伴う林床木本植物の多
様性の変化に関する研究
14) 清家 怜彩 小田原市内の寺社を対象とした境内地の緑地環境的特性に関する
研究
15) 行川 彩華 仙台平野の津波被災海岸林における津波前後および今後の景観変
化
森 優香 同 上
大学院生
16)笠原 健瑚 里山型都市公園の林床における植生及び管理状況に応じた変形菌
相
17)山口 桃華 都市域の水辺ビオトープにおける植物の生育適性及び蚊の発生源として の評価に関する研究
大学院生は、これまでに日本造園学会の関東支部大会で口頭発表したり、関連学会誌に投稿・掲載されていて論文の内容、プレゼンテーションに一日の長の感がありました。笠原君(17)の研究は、さらにいろいろな都市公園、緑地における変形菌の動態や人の利用や管理との関係を深めていければと感じました。山口さん(18)のものは限定された条件での植物生育の実験データを中心としていますが、唐突に蚊の発生との関連は時間的(季節的、空間的)制約の中での結果でもう少し様子を見る必要があるでしょうか。
学部4年生の研究の中では、横堀君(11)の調査研究が興味深かったです。水辺のビオトープ(生き物研究)の保全管理と公園利用管理(鑑賞か事前資源か)の鬩ぎあい、議論の分かれる点でもあり、同様の調査研究が積み重ねられることを期待したいと思いました。
いずれの実験的、調査主体の研究でも、2018-2019年時点での貴重な記録データ資料であることには異論はありません。内容的に問題点があるものの、調査・研究した学生それぞれには長期間、特定の課題に対し常に問題意識をもって、考え、工夫し、実施し、考察を加えたことは、今後の生活の中で少なからず役立つものと思います。
次代を担う3年生、2年生(数日前に学科内で、所属研究室決めが実施され10名程が造園緑地科学研究室所属となった)にとって有意義な発表会となったであろう、と思います。
続いて実施されるFNEC造園緑地学実習(別名:団結実習;2/18~21)が始まることとなりますが、こちらも教員と学生、寝食を共にし充実したものとなることを期待します。