水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

海外雑誌での研究 9-2

 9-2では ”Natur in NRW(3/2020)”の他の3件(4~6)について報告します。

 

4)Gesundheitszustand des Europaeischen Aals in den Fliessgewaessern N.W

5)Insektensterben - auch in unseren Fluessen und Baechen

6)Das Quellenkataster NRW

 

 

4)Gesundheitszustand des Europaeischen Aals in den Fliessgewaessern N.W

  (NRW州の河川におけるヨーロッパウナギの健康状態)

 

 著者: Dr.Linna Danne   Landesamt fuer Natur,Umwelt und Verbraucherschutz NRW

 問い合わせ先:linna.danne@lanuv.nrw.de              

 4はヨ-ロッパウナギの健康状態についてNRW州の3河川におけるモニタリング調査結果をもとにした報告です。このウナギは10数年来、生息状況は極めて悪化し危機に瀕していますし、その生息状況自体もドイツの河川では明らかになっていません。ここではのNRW州の3河川  (ライン川、リッペ川、エムス川) における実態調査(2017-2019)の結果です。

ヨーロッパウナギ(Anguilla anguilla)は、ニホンウナギ(Anguilla japonika)、アメリカウナギ(Anguilla rostrata)と同様の成長サイクルを持っており、ニホンウナギはマリアナ海峡周辺で産卵、太平洋を北上、日本の河川へ至るし、ヨーロッパウナギも大西洋で産卵、5~6,000kmにも及ぶ回遊を経て欧州の海浜から河川へ遡上することが近年分かってきています。

 ヨーロッパウナギの減少過程はまだ十分明らかになっておらず、河川のダムや堰により生息域が分断され、さらに水質悪化なども影響しているとされていますし、地球温暖化による気候変動、異常降雨と洪水なども生息に関連しています。ウナギの病気では寄生虫、バクテリア、ウイルスなどによるものが挙げられますが、種の減少に関係が最も深いのはウイルス(

aalpathogenen Viren)であると考えられています。

2007年9月18日からヨーロッパウナギEU規約(EU-Aalverordnung)が施行されており、試験捕獲は5月から10月まで、大型(大 ;Blankaalen、中 ; Gelbaalen)ウナギは簗を設けたり、電気式捕獲器で、小型(Steigaale)のものは捕獲筒で捕まえられました。捕獲ウナギ=276匹(大=6匹、中=254匹、小=16匹)で最初に罹病状況が調べられ寄生虫のいたものが  91%、ウイルス罹患のもの  47%、バクテリアは0でした。調査したウナギの体長は10.2~98.5cm、重さ0.9~1.736gとなっていました。 

 

5)Insektensterben - auch in unseren Fluessen und Baechen 

 (身近な河川・小川における水生昆虫の死滅)

 

 著者:Jochen Lacombe     Landesamt fuer Natur,Umwelt und Verbraucherschutz NRW

問い合わせ先:jochen.lacombe@lanuv.nrw.de  

 5)はNRW州全域の河川・小川における水生昆虫調査が1996ー2017に行われ、そのデータはコンピューターに取り込まれています。955河川、2.000か所の計測地点で3年に1回の調査結果、1996-2017年間、20.344の評価され、水生昆虫1.019種が明らかにされています。

評価は㎡当たりの個体数で7段階(2,6,20,66,200,1650,6500)に区分され状況が示されています。①NRW州全体の河川、②19流域と他3特殊流域、③主要9河川 それぞれのデータ(1996-2017;20年間のデータ)が図化され、さらに④大流域(5河川)と⑤小流域(4地域)別の変動、⑥運河に架かる堰のデータも示されています。

NRW州の河川の水質も図化されており、州の南部、東南部域(源流域)を除きほぼ低地では水質が悪化していることを示しています(これはドイツでも代表的なルール工業地帯;稠密居住都市群で、その地域を流れる河川が汚れていることを示しています。勝野注)。EUの水質基本指針(EU-Wasserrahmenrichtlinie)での良質な生態的状況からすれば僅か7%しか適合していないことを示しています。

 

6)Das Quellenkataster NRW   

 (NRW州における水源地の地積簿(各種のデーター集積・図化)

 著者:Heinz Elfers 

   Geologischer Dienst NRW     Fachbereich 21:   Fachinformationssystem Geologie 

 問い合わせ先:heinz.elfers@gd.nrw.de

 6)は5)と同様にNRW州全域の河川源流域のデータについて書かれています。2018年11月にNRW州立地理院(Geologische Dienst NRW) が地理情報;1-50mクラスター

を公表しています。今後、この情報はいろいろな分野で応用、利用が進められることになります。公表のデーターは、次のアドレスから得られます。

 Web Map Service      : https://www.wms.nrw.de/gd/quellenkataster

   Web Feature Service  : https://www.wfs.nrw.de/gd/quellenkataster?

  Download  : https://www.opengeodata.nrw.de/produkte/geologie/HK/ISQuellen/Quellenkataster-Quellen-in-NRW-EPSG25832-Geodatebase.zip