水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

ドイツ専門誌「都市と緑」;Stadt + Grün No.1

ドイツの造園関連専門誌として、全国版の造園会員誌「Garten und Landschaft」(G+Lと略記)と主に行政部局の担当者団体誌「Stadt und Grün」(S+Gと略記)2つがある。今回はS+Gの2015,2016について少し内容に触れて紹介する。

S+G誌はドイツの各自治体における造園担当者向けの専門月刊誌といえる。ドイツ造園緑地部局長協議会(Organ der Deutschen Gartenamtsleiterkonferenz)は全国市町村自治体にある造園緑地部(都市公園、都市緑地、景観計画、墓地など担当)の構成員からなり、その関係者に公園緑地に関する幅広い分野、テーマに関連する歴史、現状、課題、将来像などに関する情報を伝える月刊誌である。

例えば2015年の報告・論文の内容区分を列記すると次のようにかなり広範囲にわたっている。内容は、市民参加、屋上・壁面緑化、墓地、庭園文化財保存、造園事例、造園技術、庭園博、グリーンツーリズム、緑地と担当者、緑地管理、市民農園、気候変動、地方の緑地計画、景観計画、公園と庭、植物材料、遊び場・スポーツ競技場、都市開発、環境と自然保護、都市緑地と都市内農地、都市内水辺、関連法などである。

内容は月別に特集構成にもなっており、たとえば1月は緑地管理(Grünflächenmanagement)、4月は州や国の庭園博、5月は遊び場・スポーツ競技場、10月は庭園文化財保存(Gartendenkmalpflege)、11月は墓地(Friedhöfe)などとなっている。4月の庭園博特集号では、2015年にザクセンアンハルト、ブランデンブル両市で行われた連邦庭園博やランダウ市で行われた州の庭園博(ラインラント・プファルツ州)、ザクセン州での第7回庭園博、以前開催されたハンブルグ市の連邦庭園博記念公園の新しい緑の維持管理などで構成されており、博覧会の内容や開催までの経緯、役割や効果など多彩である。

 今日、庭園博は計画から実施まで巨額の費用が掛かり、特に州の博覧会では州の援助があるとはいえ開催都市の財政的負担は問題になって来ている。開催都市は問題があるものの開催による観光・レクリエーション効果、経済的効果、緑地整備による生活環境整備効果などを評価している。

2016年のS+G誌の最新情報記事には庭園博開催の是非を市民に問う投票が初めて実施され開催が決まったとある。2年に1度の連邦庭園博、毎年どこかの州で開催される州庭園博は、このような問題を抱えながらも地域活性化、都市緑地整備、生活環境整備を通しての経済効果、社会的効果を評価し実施している。諸都市は10年先を見ながら庭園博開催計画、実施プログラムの作成に努めて(既に2020年代、30年代を目指して動いている)おり、その計画的対応の推進、決定には我が国にとって羨ましくもある。