水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

外来生物 余話

 私の以前の勤め先、日本大学生物資源科学部生命農学科(前;植物資源科学科、旧;農学科)造園科学研究室(前;造園学研究室、緑地環境計画学研究室)にも、外来生物に関係する調査研究が以前からあります。

 その外来生物は、カミツキガメやミシシッピーアカミミガメ、タイワンリス、アライグマ、セイタカアワダチソウ等です。造園学研究室は、本来、公園や緑地、所謂オープンスペースの計画に関する研究をするところですが、私がドイツでその調査研究の視点として野生動植物の生息空間(ビオトープ保全・保護・再生創出を参考にして以後、我が国における緑地計画の量的研究もさることながら質的研究も同時並行して行う必要があるとして、生き物を対象にしたオープンスペース(OS.=緑地)の調査・研究をし始めたことによります。

 かなり以前から緑地と生き物(動植物種)との関係を考えていました。セミの抜け殻と緑地、クモ類の生息・造網と緑地などがありました。生き物ではカエル(両生類)を指標にして大澤先生が、ネズミ類を指標にして黒田先生が、カメやカエル、カミツキガメ、トウキョウサンショオウオ等を対象に天白牧夫さんがそれぞれ博士論文を纏めました。

 タイワンリスを対象にして鎌倉市内の緑地で生息調査を進められたのは葉山嘉一先生です。 沢山のデータを集められましたが残念ながらいろいろな仕事に忙殺され論文にされませんでした。

 研究室の卒業生諸君の中にも、卒業研究の一環で、これらの生き物(野生の動植物、希少種、絶滅危惧種等)を対象として緑・自然・景観を考え、調査し卒研にまとめた方も少なからずあると思います。希少種・絶滅危惧種を対象としたとき、その減少の原因に外来生物が関与していることも多々あり、注意を喚起した卒研がありました。

 磯部達男、佐藤文俊、板垣一紀、芦澤航、増山貴一、今井洵子、浅田大輔、岡田昌也等々。学生の卒研調査を通して、いろいろな生き物、それと敵対する外来生物、環境要因など幾多の新たな知見を得ることが出来ました。

 現在もこの動きは研究室に流れていて、後輩の学生諸君が少しずつ続けてくれているようです。時代を先取りする研究に頑張ってほしいです。

 

外来生物との付き合い方

 先日、9月11日読売新聞の国際ページに街角ノートという欄があり、「悪役」ザリガニ名物料理、という記事がありました。冒頭の一部を再録してみます。

 「外来生物」への対応に苦心しているのは、世界中どこも同じ。ドイツ・ベルリンでは、公園の池で販促するアメリカザリガニの生態系への悪影響を懸念した市当局が今春、食用の捕獲許可を出した。地元レストランで売り出され、新たな名物料理となっている。 

 このアメリカザリガニ(学名;Procambarus clarkii ;エビ目・ザリガニ下目・アメリカザリガニ科、私の幼少時代(昭和30年代)子供仲間で田んぼや水路、川端で捕まえ茹でて尾部を食べた記憶があります。茹でると殻が瞬時に真っ赤に変わるのに驚いたものです。地域によって今も食されている所もあるでしょうが、都市近郊の水辺では殆ど捕まえることに興味や行動はあるのでしょうが、食べることは殆ど無いと思います。

 アメリカザリガニとは別に日本固有のニホンザリガニ(学名;Cambaroides japonicas)がありますが、1927年にウシガエルの餌用として外国から持ち込まれた後、アメリカザリガニが一般的に「ザリガニ」と言われているとあります。

 アメリカザリガニは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」では要注意外来生物に指定され、飼育・販売が規制される特定外来生物ではありません。

しかし、水草(中には希少な水生植物)を切断したり水生昆虫(トンボのヤゴ等)を捕食するため駆除すべきだと思います。

 ザリガニに関する情報として、ドイツ・ウエストファーレン州では河川に生息する在来種( Astacus asutacus, Austropotamobius torrentium)と外来種Pacifastacus leniusculus他)の間でカニペスト(Krebspest)により生息域や生息数に大きな変化が起こっていることをe-DNA調査で明らかにしています。日本同様にアメリカから移入した種が拡大し問題化しており、それに対して新しい遺伝子調査で問題の実情を明らかにし警鐘を鳴らしているのは、さすがドイツの環境対応だと思います(私の購読しているNatur in NRW、2017・No.1.26-28)

 

 ザリガニ同様に問題なのはウシガエルLithobates catesbeiana)でしょうか。ザリガニの餌として入ってきたウシガエル(1918年に食用としてアメリカから導入)、かっては食用にもなったでしょうが現在では生息数、生息域が拡大して水生昆虫や甲殻類、魚、両生類など小型の動物を食べ、希少種、在来種を亡ぼす勢いです。2005年に特定外来生物(2015年には重点対策外来種に)指定され規制されています。昨今の人気民放番組 ”池の水全部抜きます” で外来種撲滅作戦をやって、この種も対象にされています。

 また水辺、田んぼといえば、スクミリンゴガイPomacea canaliculata)も厄介な生き物(淡水性大型巻貝)です。これと出会ったのは、私がまだ現役の頃、農村計画の現地調査で岡山地方に行った折、水田の稲の根元にピンクの大きなナメクジ大の卵塊を見た時と、台湾の農村を視察した折、水田や水路いたるところにこの卵塊が張り付いていたのを思い出します。日本ではジャンボタニシと呼ばれており、1981年食用としてジャンボタニシが台湾から持ち込まれたとありますが、今は要注意外来生物、さらに日本と世界の侵略的外来種100に指定されて規制されています。

 

 他にも外来種問題では、魚類(ブラックバス、ブルーギル、タイリクバラタナゴ、ソウギョなど)、哺乳類(アライグマ、タイワンリスなど)、爬虫類(グリーンアノール他)などがあげられます。その多くは食用やペット、釣り、愛玩用の対象として持ち込まれ、取り扱いを間違って野に放たれてしまった結果が現状を招いています。 ドイツでは食用として公園の池のザリガニ捕獲作戦を取っていますが、先の新聞記事の最後の部分を再度、再録します。

 ”公園では市の許可を受けた川魚漁師が、ザリガニを捕獲している。水草をかき分け、茶色に濁った池に腰までつかり、仕掛けた網を引き揚げる。(中略) 市は今後、繁殖状況を確認し、来年以降もザリガニ漁を許可するかどうか決めるという。(井口馨)”

 やはり、堅実に実態を調査し環境的視点や食事情の観点から進める国です。

 

 取り上げた外来生物、どれも当初の持ち込み動機は ”食材・食料”あるいは”ペット”でした。食の変化、好みの変化で食べられなくなったり、飼育され逃げ出したりした結果で問題化してきています。世の中がどうなるか分からない時代、天変地異が起こりあるいは考えられないような事態が起こって食べ物が無くなると、もしかしてこれらを含め増えすぎた野生動物も食の対象になり一斉に無くなるのかもしれませんね。近くの、彼の国の国民食レベルは、皆目見当もつきませんが外来生物などという用語は民衆レベルには無いのかもしれません。

 100歳以上の国民が7万人近くの時代です。敬老の日は100歳以上の方の祝日としましょう。

 

 

 

 

 

 

展覧会巡り  19   LOUVRE

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アントワーヌ=ジャン・グロ;1771-1835  アルコレ橋のボナパルト1796・11・17)  

ヴェロネーゼ;パオロ・カリアーリ;1528-1588  女性の肖像(美しきナーニ)右 

 

    東京乃木坂、と言っても土地勘の無い人には分かり難い場所です。青山墓地の近くでも分かりずらいですかね。日本学術会議のある場所、と言っても余計に分からないでしょうか。この地に国立新美術館が出来たのは2007年1月、設計は黒川紀章、緩やかな曲線を主体としたデザイン、建物内部の南側1階は休憩、集合スペースで吹き抜け構造、高さと大きさがよく分かります。

 今回の「ルーブル美術館展」は3か月にも及ぶ展覧会(5/30~9/3)、世界的に有名なパリのルーブル美術館所蔵の「肖像」に光を当てた展覧会でした。会期末もあって多くの人が詰めかけ鑑賞していましたが、その多くは女性でした。

 展覧会は、ルーブルの顔。「肖像芸術」「人は人をどう表現してきたか」がテーマになっています。112個の作品(美術館の8部門;古代オリエント美術、古代エジプト美術、古代ギリシャ・エトルリア・ローマ美術、絵画、素描・版画、彫刻、美術工芸品、イスラム美術)が5つのテーマ(プロローグ;マスク--肖像の起源、第1章;記憶のための肖像、第2章;権力の顔、第3章;コードとモード、エピローグ;肖像の遊びと変容)に分けられ展示されていました。

 

 作品の中で魅せられたものは、やはり絵画と彫刻の肖像でした。中世以降の王侯貴族の肖像は一般的に知られていない画家によるものが少なくありませんが、象徴性と具体性から精巧・緻密で華麗に描かれた姿は素晴らしいの一言です。少し前にフランス映画「ルイ14世の死」(ブログNo.134)を見ていたこともあり展覧会の肖像でもルイ14世の肖像画、彫刻には親近感がありました。とりわけ「5歳のルイ14世;1643年頃、J・サラザン作、真鍮」は精巧で可愛らしい王子の像(頭部)がとても印象的で素晴らしく見事でした。

 王妃マリーアントワネットの胸像(1782年、セーヴル王立磁器製作所のビスキュイ;素焼きの硬質磁器、ルイ・ポワゾ作)も素晴らしい繊細で細やかな磁器像。マリーアントワネットの気高く気品ある美しさを見事に表現していて感激。像の周りを何度も巡り、美しさ緻密さとその精巧さに絶句するのみ。

 

 肖像絵画では、ナポレオン・ボナパルト添付写真上左参照)をはじめ、侯・伯爵夫人たちの作品に素晴らしいものがありました。E・ブラン(1755-1842)のスカボロンスキー伯爵夫人の肖像画(添付写真下、左の上段右)には見惚れて心和み、その微笑に引き付けられました。今回の展覧会出品作品では秀逸です。それと双璧の  V.カリアーリ(1528-1588)の”美しきナーニ”添付写真上右参照)。銀色で小さい模様が刺繍された蒼いドレス、薄く透けるレースのブーケ。気品ある姿と右下方を虚ろに眺める眼差し、右手を胸に当てる様は見る人の心を引き付け陶酔の境に誘いました。F.ゴヤ(1746-1828)の絵(子犬を連れ立つ男爵の小児像)は色遣いの見事さと男の子のふっくらとした立ち姿が印象的でした(添付写真下、上段左)。

 出品されている絵画には古く16世紀から18-19世紀まで、ルーブル博物館のサロンに出品され蒐集されたものが多く、博物館の歴史の中で王国の芸術に対する見識の高さ、文化を築き上げる姿勢に歴史の偉大さを感ぜざるを得ませんでした。

 ルーブル博物館の歴史を紐解けば国や高貴な有識者、有力者たちの芸術・文化に対する考え方、支援活動(寄付をはじめとして)の伝統が脈々と繋がっていることに感服します。

 

 同じ作品を現地パリ、ルーブル美術館で鑑賞したら、また今回とは全く異なった印象を受けるに違いありません。そんな機会はもう二度と無いような気がします。その意味でこの展覧会は印象深く、時間を共有した人にも感謝したいと思います。

 

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緑ありせば  その2

 私のブログNo.127(2018.06.22)で、ブロック塀を無くして緑の生垣にしたら、との思いを書きました。あれから2か月が過ぎてしまいましたが、文科省が来年度予算の構想の中でブロック塀の安全対策支援に費用の1/3補助の事業化を考えている旨の記事が出ました。予算規模は3967億円とあります(8/22付読売新聞)。これは公立学校でのブロック塀の撤去、改修に対するもので通学路や学区内整備はもちろん含まれませんし、内容的に緑化を推進するまでに至っているかどうか明らかではありません。

 それより先に関係市町でも、素早くブロック塀の撤去、改修などに対する補助制度を創設、関係市民に参加を呼び掛けて来ています(当該高槻市はじめ関東でも東京都・区、横浜市鎌倉市など)。

 どの自治体も撤去工事の促進を目的にした補助事業の通達であるため、それに関連した地区内の環境改善や街並修景までの考えがあるかどうかは分かりません。担当部局や担当者の考え方、進め方・指導によるところが大きいと考えられます。行政的な対応ですから止むを得ない部分(関連項目のみに限定)がありますが、この機を逃さず緑の充実を前面に出したいものです(生徒や卒業生の為にも)。

 既定の長さや高さのブロック塀の撤去、フェンス整備の補助が一般的であり、関連して緑化助成の支援がある自治体もあります(新宿区)が、より強く町の緑の充実、増強をクローズアップしている地区は少ない気がします。より広い視点(町全体や特定街区)での緑豊かな街づくりを計画・推進(緑のマスタープラン・緑の基本計画との関係拡大・強化)すべきだと思います。

 同時に、その雛形としての在るべき姿(境界の緑)の充実した、素敵な学校をクローズアップした写真(美しい生垣のある学校)や情報等が示されないのは、どういうことなのかと感じています。全国の都市内に数多ある小中学校(地方の学校でも良いのですが)にそんな事例は無いのでしょうか。情報化(SNStwitterFacebook)が進んでいる現在、示されても良いのではと思うのは私一人だけでしょうか。

 別の意味で、NHKの番組ブラタモリの伊勢神宮編で伊勢市の街づくりが報道されました。その番組の中で、伊勢神宮本殿遷宮の20年と連動し街づくりを進めてきた経緯があると説明されていました。これは、都市や町村の計画づくりの在り方として、心すべき点ではないかと思います。

 ドイツの庭園博会場づくり等を例に、それを手本とすべきであると、これまでにも度々書き記してきたつもりですが(例えば2027年国際庭園博会場計画がルール地域開発協議会で2017年基本計画が策定されている)日本の緑地・公園整備の計画は今未しの感が強いです。

 

向日葵 その2

 先日、近くのヒマワリ畑の記事を書きましたが、今回はその2です。昨日、タウン誌(新百合ヶ丘、柿生を中心とした地域ニュースを載せるタウンニュースNo.624)が入っていました。その中に、向日葵畑の記事がありました。少し追加することがありましたので、「その2」として書いています。

 景観作物として既に2016年から継続して向日葵が作られてきているようです。年を重ねるごとに上手く栽培されてきて、3年目では栽培暦も旧盆会を照準に合わせ進められてきました。6月に種まきをしたとありますが、栽培法や品種選び、作付法などは前年の失敗を経験に変更されたようでした。昨年は花が十分に咲かなかったため、今年は栽培後の緑肥にも効果のある品種として「ハイブリッドサンフラワー、サンマリノ」の2種を採用、列状に播種する「筋蒔き」で行ったとありました。緑肥の考え方は環境配慮型農法としての意義が十分にあり、昔のレンゲソウ(緑肥と蜜源、農の風景もおなじ)広がる田圃を思い出させてくれます。ヒマワリの品種改良という新しい視点と伝統的な農法(緑肥還元)がミックスして作り出されています。

 先の8/16の「お知らせ」で、市街地農地の維持・再生、オープンスペースの保全、農の景観再生の視点から重要であると指摘しましたが、切り花として活用する途も考えられていて、花の最盛期(8/14;旧盆会)には、近くにある早野聖地公園(市営墓地公園)での野菜直売会で切り花が売られました。

 ただ単に農の遊休地活用だけのために「向日葵」が栽培されたのではなく、多面的な対応(遊休地再利用、景観作目栽培、花卉栽培・販売、緑地保全、近郊レクリエーション etcから、複数の機関市、JA、農業委員会、農家=農地管理組合)の協働で創りあげられたもので3年目の作品です。

 これまでのやり方で地域の再生、活性化を進めることは出来ないでしょう。地域を多様な人のかかわりで、多面的な視点からその目的、方法、手順などを工夫し総合的に作り上げることが求められます。

この川崎市麻生区早野地区の「向日葵作戦」の来年がまた楽しみになります。

向日葵 雑感

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6月5日以来の「お知らせ」コーナーです。カテゴリーに「お知らせ」がありますが今回は思うがままに「向日葵」を書いてみました。

 「ひまわり」と言えば画家の ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853-1890)でしょう。35歳の頃の名画で、南フランスの太陽の象徴として描いたと言われています。7枚同じモチーフで向日葵を描いていますが世界に現存するのは6枚の様で、その内の1枚は新宿にある東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館にあります(先般、ターナー風景の詩、展覧会の折に見ました)。

 暑い夏に元気な姿で人々を励ますような「ひまわり」もいろいろな捉え方、感じ方がありますね。

「日まはりの 花心がちに 大いなり」 (正岡子規

「向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ」(北原白秋

「向日葵が すきで狂ひて 死にし画家」(高浜虚子

 今年の夏は猛暑、酷暑、炎暑続きの毎日、35℃を越える気温にとても外で自然を楽しむ気持ちにはなれませんでしたね。涼しく冷房の効いた美術館や水族館で時間を過ごす方が(年寄りには)良かったですね。でも、そんな猛暑でも、一歩も動けない植物にとってこの暑さは耐える以外に生きる術は無かったのです。それを乗り越えて見事に花を咲かせています。

 川崎市麻生区の市街化調整区域内農地(都市内の緑・オープンスペース)でも「景観作物*」として「向日葵」が植栽され、旧盆会に合わせて満開になり近隣の人達に人気を博しています  (8/16の新聞記事で紹介:3区画/6000㎡/10万本の田圃で満開;  添付写真)。

 少し陽射しが弱くなり、折からの風で暑さも幾らか和らいだ午後に、その場所を訪れてみました。午後も夕方近くであったため、ヒマワリはどれも頭を下に下げ俯いて風に揺られていました(写真の題材にはいまいち)。水田の再利用ですが、連日の好天で田圃は乾いてカラカラ、向日葵畑の中に入って行くことができ、身近に子供の顔の大きさ程もある花を細かく見ることが出来ます。

 向日葵には、晴天と無風が必要です。抜けるような空の青さ、真っ黄色の向日葵の花、それを取り巻く緑の葉。満開前の数日間と真ん中が種で黒くなる開花後の数日が見頃でしょうか。

 栽培し易いので小学校の花栽培実験にも良く使われ、また、花が少ない暑い夏の花として百日紅(サルスベリ)や朝顔と同様、人気があります。

 来年でも、猫の額ほどの陽だまりがあったら、苗を(種からでも)植えてみてください。暑い夏に元気が貰えること、請け合いです。

*「景観作物」;農水省の休耕田対策の一つとして、農村景観を表すような開花植物(農に関連する花を育て、土地を荒らさず風景としても楽しめる作物を推奨し農家に栽培育成を依頼する施策;レンゲソウ、ヒマワリ、ナノハナなど)

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ドイツ・NRW州機関誌 Natur in NRW 夏号(2018.No.2) より

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● 今回の報告はNo.2(夏号)の話題で、以下の通りです。(上の写真は冊子の表紙絵です) 

 草地果樹園(Streuobstwiesen)は果樹の下の草地の在り方について述べられています。ドイツでは街路樹*としても以前から果樹が良く使われていましたが、果樹の生産に特化した果樹園としてでなく、生物多様性、伝統的農村風景、伝統的果樹品種**の保全など多様な価値を持つ、集落内や周辺部にある野生草で地表を被覆された果樹園の見直しが進められて来ています。それは昆虫はじめ野鳥や野生草の生育、生息空間として重要であり、かつ伝統的な維持管理法、農村・集落景観としても価値を有し文化景観(Kulturlandschaft)の保護の視点、地産地消、食の安全性等からも保全・再生が指摘されてきています。この号は、それに関する報告が中心になっています。

*今日でも農村の中の遊歩道整備(例えばハイキング、サイクリングロード等)の際に、街路樹整備の対象として果樹(多くはリンゴやナシ等)の苗木をを名札(樹種名・寄付者名付)を付けて植栽をしていますまた、伝統的に農村の街路樹整備「郷土保護;heimatschutzとして」で果樹(リンゴやナシ)を植栽してきました(例えばG.Vorherr)。最後の段の写真はドイツ・ハノーファ市郊外の遊歩道沿いに植栽されたリンゴ(寄付者の名前とリンゴの品種が書かれています)

**日本の果樹試験場?にも伝統的な古来からの旧い品種が生体保存(品種保存)されていると思いますが、ドイツでは報告にある通り特定の機関でしっかり保存・育成されています

 

2018.  No.2(夏)

1) Streuobstwiesen:  Weiter auf dem absteigenden Ast? (草地果樹園;増大傾向の今後)   著者:Corinna Dierichs   連絡先:dierichs@biostation-rhein-sieg.de

 ライン・ジーク郡内4町村における1990-2013年(23年間)の草地果樹園の動態について報告しています。高木果樹のある樹園草地はNRW州の文化景観として保全され、かっては代表的な経営形態でありましたが今日ではとりわけ、自然保護ー種保護の視点に注目されてきています。こういった果樹園の動態(1990/2013比較)が全体では、9万本/1400ha/3千ヵ所(1990年代半ば)あったのが現在どうなっているか調査されています。自然保護地区内とそれ以外(無指定地区)で状況が変化してきています(全体でー48%減;自然保護区内は17%減に対しそれ以外では54%減)。この調査には航空写真(精度も地上で40cm~20cm判読可)も使われています。現況では、保護地区も無指定地区も共に旧い果樹園が増え(60%以上)、 共に90%以上で樹木の老化が進んでいると報告しています。

これに対する対応施策として、自然保護地区内での果樹園の充実、改善、果樹園における家畜(豚や羊、山羊等)の放牧の再生、推進、所有農家の理解と参加、民間団体の果樹園保全に対する積極的参加、学校の環境教育・体験教育での理解と参加と推進、州の自然保護法42条(4項)の積極的適応などを挙げています。また、今年中に州内の草地果樹園のデータが整備される予定です。

2) Wildapfel im Spannungsfeld menschlichen Wirtschaftens(社会経済的に緊張感のある 野生リンゴの位置づけ) 著者: Ulrike Hoffmann  連絡先:mahpa@web.de

 ここで言う野生リンゴ(Malus sylvestris)は2011年にレッドリストで絶滅危惧種に指定され、2013年にはその年の樹木にもなり、遺伝子保存まで行われています。これはNRW州での野生リンゴに関する調査・研究史の報告で、文化景観の構成要素として野生リンゴ(7000年以上の歴史)は重要視され、歴史的にも林内放牧や用地境界樹としても利用されてきたことを述べています。これまでの時間的経過の中で野生リンゴの意味を再確認し、現在の地球環境時代における種多様性、種保護、生物多様性、伝統的農法の視点から重要性を喚起しています。 

 

3) Aktuelle Vorschriften zur Artenschutzprufung in NRW (NRWにおける種保護検証規約)  著者:Dr.Ernst-Friedrich Kiel 連絡先:ernst-friedrich.kiel@mulnv. nrw.de    

 FFH指針(Fauna-Flora-Habitat-Richtlinie)、鳥類保護指針はEU生物多様性保全に関する重要な案件です。この指針はNATURA2000の保護システム(Schutzgebietssystem NATURA2000)に基づく厳しい条件での指針になっています。したがって関係国の自然保護の計画、許認可に際して重要なテーマです。NRW州ではこれに従って前年、規定(Vorschriften)を出しました。この報告はそれに関連する手続き(連邦自然保護法、州自然保護法との関係)の流れと、種保護試験(Artenschutzpruefungen)の成り立ちについて解説、同時に保護計画重要種の捉え方についても明らかにしています。例えばNRW州では哺乳類76種中25種、鳥類では260種中133種が計画重要種になっています。これらの種の現地調査方法基準、モニタリング調査基準、特定の計画対応などを説明しています(NRW州では2017年末より風力発電施設計画、許認可に対して新しい手法・基準が決まっている)。 

4) Die EG-Verordnung Invasive Arten: Stand der  Umsetzung (輸入種のEG規則、変換基準)     著者:Carla Michels    連絡先:carla.michels@lanuv.nrw.de

 外来生物の取り扱いについては何処の国も、その対応には苦労しています。ドイツでもEUとの関係を考慮しながら(EUリスト)国内での種の生育・生息状況を説明しています。さらにEU指針16,19条に基づく種の取り扱いについて検討中もあり、例えばアライグマ(Waschbaer)についての説明もされています。

 わが国と異なり、ドイツではEUという繋がりの中と国内との違いについて(EUレベルと国内レベル)検討の必要性が指摘されています。

 

5) Die neuen Roten Listen der Vogel NRW(NRWにおける野鳥の新レッドリスト)   

 著者:Peter Herkenrath   連絡先:peter.herkenrath@lanuv.nrw.de  

  NRW州では他の団体と共同で新しいレッドリスト(第6次)を公表しました。繁殖鳥と渡り鳥について、国内1000人以上の旧・現担当官により調査し造られたデータ(6段階に区分)を基に決められています。州内で繁殖する鳥種の半分以上が危機に瀕していると報告しています。また渡り鳥(国内、国際:長距離;サハラ以南の45%、中距離;地中海沿岸の32%)についても危機に瀕しているとしています。

6) Das Projekt Rotmilan -- Land zum Leben(アカワシ保全プロジェクト---州内の生息に向けて) 

 著者:Otto Florian Schollnhammer 連絡先:schoellnhammer@bs-bl.de

 重要保護鳥(Rotmilan;ドイツ国旗)の保護計画プロジェクトについて。ケルン東部の町ベルギッシュグラッドバッハ(Bergischgladbach)地域における調査対象地での生息、繁殖状況、繁殖樹木(ブナ33%、ミズナラ51%)、採餌場所(40%農耕地(畑、刈り取り牧野、放牧牧野)、40%樹林地(針葉樹・落葉樹50%)の結果が報告されています。

 

7)Vertragsnaturschutz:Management mit freier Software (ソフトウエアによる管理;自然保護協定)    著者:Melanie Hein    連絡先:m.hein@biostationeuskirchen. de

 特定農家と協定を交わし自然保護を進める際の方法について。調査データの作成に関してソフトウエアーの管理を事例を使って説明しています。関連事項(地形、地質、植生、土地利用など既にデータ化されたフォーマットに追加して対象空間の農地の維持管理データを取り込む方法で関係する自然保護の指針作り、データ造りに使うものです。

  

  1)の報告事例について、日本でも無農薬、無施肥で似た報告・話題があります。青森県のリンゴ農家で無施肥、無農薬果樹園の維持管理に下草を活かした栽培で優れた効果、成果を上げあげておられるものです。無施肥、無農薬での栽培管理、下草管理と果樹(リンゴ)の生育(味や形など)について永年の経験を活かし生態的、生理的栽培を行っておられるようです。

1),2)に関連して:今年の4月、Wassenbergの品種保存園(Sortengarten)に果樹品種多様性保護協会(Foerdervereines Obstsortenwielfalt)により次の3つの古種(Rheinischer Krummstiel, Keulemann, Johannes Boettner)の幼木が植栽されたまた、4万ユーロの資金を使い州内の草地果樹園網整備のため随時、果樹の若木植栽をし、表示板で内容を掲示している(Bruchhausen自然保護センター;4月末、Berleburg-Richsteinの果樹園;5月中旬)。

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映画;ルイ14世の死・雑感

 

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身の周り近くに、知る人ぞ知る名画館「川崎市アートセンター」があります。世界の名画、ロードショウ劇場で取り上げられることのない名画を上映しています。近くであるため、時々鑑賞に出かけています。先日も「ルイ14世の死」と「マルクス・エンゲルス」(どちらもフランス映画)を見ました。

 「ルイ14世の死」は造園学の欧州庭園史に必ず登場する「ヴェルサイユ宮殿」を造らせた王、”太陽王”と称されたフランス・ブルボン王朝14代王様が死ぬ数週間前の様子を映画化したものでした(ヴェルサイユ宮殿の庭園はルイ14世が稀代の造園家アンドレ・ル・ノートルに造らせた平面幾何学式庭園)。映画の口コミでは、なかなかの評価を得ていましたが、私自身映画としては「退屈な作品」と評価しました。しかし、2016年のカンヌ国際映画名誉パルムドール賞、2017年リュミエール賞最優秀男優賞を受賞したジャン・ピエール・レオのルイ14世役には、さすがの感がありました。

 J・P・レオは私と同じ1944年生まれということもあり、映画が製作された2016年は彼(71歳)がルイ14世の76歳に極めて近い年齢で、一目置いて見ましたが、評に違わずの迫真の名演でした。映画の場面は殆ど全シーンが王の寝室、死の間際の数週間のベット上での様子を映し出していました。ルイ14世は160cm足らずの小人だったようですが病床の王は、それとは別の威厳と貫録を示す風袋、18世紀当時のコスチュームを身に纏い、大きな鬘を付け、病と闘い死と向き合う姿は、陳腐でもありましたが同情を禁じ得ませんでした。でも・・・・

 

 それに先立って義兄の3周忌法要の為、岐阜の郷里へ出かけました。義兄の結婚式当日は私の大学入学式と同じ日(1963.4)であったために欠席、それ以来、長くいろいろな面で苦労や心配を掛け世話になったことを思い出しています。相前後して100歳で継母(伯母)を見送り昨年1周忌を済ませたばかりでした。人間の「死」、「家族」を考えさせられるここ数年ですが、そんな折にこのフランス映画を見て、人の死の様相をどう考え、捉えたらよいのか、自分の身に置き換えることも少なくありません。まして、義母が脳挫傷の後遺症で意識なく「ルイ14世」とは真逆の状態で既に1か月以上ベットに伏せって明日世も知れぬ姿を見せており、人の置かれた状況の違いと「死」の捉え方の違いに戸惑っています。

    浄土庭園は、現世の困難辛苦を耐え、来世に喜びをもたらす現世の楽園を表していますが、寺院伽藍、極楽浄土と信仰の在り様に悩む今日この頃です。

 74歳に垂んとする齢になり、体のどこかが何らかの問題を来す我が身を想うとき、映画の主役がそれほど遠い存在でないことを知らされます。火星が地球に最も接近した2018年の7月大晦日、次の大接近は17年後の2035年とか。

 それを地球上で健康で見ることが出来る我が身の存在がありや否や。 

 何とも夢の少ない有様ですが、元気を奮い立たせ望遠鏡で覗いてみたいものです。

 

 

ドイツ・NRW州機関誌 Natur in NRW 春号(2018.No.1) より

   今、手元の届く「自然や公園、緑地に関する専門機関誌」では、たった一つ ”Natur in NRW ”だけです。昨年(2017)の分は住所記載不適格で届きませんでしたが、今年になり調べた後にドイツの出版社に対応してもらい、届くようになりました。暫く途絶えていました海外情報を再開します。

 御存じのとおり、この機関誌はノルトラインーウエストファーレン(NRW)州の ”自然・環境・利用者保護局;Landesamt fur Natur,Umwelt und Verbraucherschutz”から発行されている機関誌です。取り上げられている内容は、NRW州独自およびドイツ連邦政府との関係を見ながら州が関係する「自然、環境、利用者保護」項目を中心に編集されています。しかし、内容からも明らかな通り、州政府関連省庁を横断的に捉え、様々な課題に対して自然、環境等に関する具体的なテーマ、地域、内容に基づいて話題を提供してきています。現在までの歩みをはじめ、これまでの状況(現況)、これからの動向、等について詳細に報告、検討しています。

  わが国で言えば圏、県レベルで、同様の機関(研究、行政で)が無いこと、似た機関(行政部所)があっても同じような内容、行動を行っていないことは寂しい限りです。 

 

 まず、この機関誌の2018年春号の見出し・著者・連絡先を下記に挙げます。

2018、No.1(春)

1) Fledermause in der Eingriffspalnung (コウモリの保全に関する代償計画)    

  著者;Saskia Helm   連絡先:saskia.helm@nua.nrw.de

 驚きです。既に2008年から、コウモリ(Fledermaus)を対象として毎年、専門の研究者、行政や計画づくりの担当者が集い情報交換し成果を公表してきています(州の自然保護・環境保護研究アカデミー;Natur- und Umweltschutz-Akademieから)。

 この冊子の内容では、これまでの成果から高速道路における代償措置、風力発電タワー建設における代償措置など調査、対策を通して事例が幾多検討されてきています。2017年11月の集会では専門家ら200人が参加し”コウモリ”と①建物、②高速道路、③風力発電施設それぞれに対応した現状、対策、課題が討議されています。

①の建物については、撤退後20年経つ工場建物(レンガ建)にコウモリ等が生息し、動物調査会社が調査し連邦自然保護法に準拠して代償措置を提言しています。

②の高速道路については、緑の橋(Grunbrucke ; 動物の移動を考慮し生息域を分断する高速道路に幅広の緑化した橋を架けたもの)の周辺に鉄柵網を設けコウモリの飛翔ルートとFFH*でどのような成果が出るか代償措置検討の報告がされている。*FFH地域;フロラ・ファウナ・ハビタット保護地域

③の風力発電施設についてはライプニッツ大学の動物学研究室が行っている調査のデータ集積があったことを報告しています。 

2) Konversion einer Kaserne bei Coesfeld  (Coesfeldにおける演習場の建物)

 著者;Olaf Miosga       連絡先:miosga@oekon.de

 コエスフェルト市は以前の軍施設  ”Freiherr-vom-Stein-Kaserne"(Coesfeld市)の利用を「市の工業地域(ziviles Industriegebiet)」に変更し、その中で自然度の高い地区を「新しい自然保護地区」に決め中心地区を自然-種保護地区(Natur-und Artenschutz Gebiet)=に、またその中にある2つの建築物を「緑の核」(Grune Mitte)に指定しました。

    旧演習地は以前の農地、樹林地が演習場として使われ、立ち入りが制限されていたこと、生産に関わる農薬の使用が見られないこと、土壌的な点(砂質、粘土質土壌、地下水位が5m深など)などから希少な動植物の生息が確認されています。調査の結果(2009年までに)、旧建物では各種の燕類の営巣地となっており、地区内には特殊は蛙のハビタットが存在すると判明しています。2010-2011年には敷地内の道のアスファルトが剥がされ建物も一部回収を含むものの殆ど旧いまま壊れたままの状態にされました。

 調査結果に基づいて、旧施設(燃料貯蓄ヤードのプール)を蛙の生息場として再活用することや地域内の緑地管理方針が示され、生き物に優しい、生態的・伝統的管理(ハイデ植物の保全とヒツジの放牧など)が提示されています。

 

 まさに「生態的調査に基づいて跡地の利用が決められ、州の中で特徴ある緑地;OS(オープンスペース)が時間を掛けて計画、整備されてきていることがよく分かる報告です。このような方法は既にドイツでは20世紀後半から進められて来ており、事例の積み重ねでより具体的な手法まで展開してきていることが分かります。

 

3) Vom Kasernengebaude zum Ganzjahres-Fledermausquartier (演習所建物におけるコウモリの通年生息状況)

 著者; Sandra Pawlik           連絡先:s.pawlik@buero-echolot.de

 旧演習場における5ケ年のコウモリ生息調査結果。5年前に"Animal Inn"と銘打って残された建物におけるコウモリの1年目からの通年生息状況の報告です。北ウエストファーレン「工場跡地公園;Industriepark」;旧演習場(10ha)に残された2つの旧い建物(2012年Animal Innと命名:地下1階、地上3階の建物:35室;建物内に85、野外に50の巣箱設置)におけるコウモリ他の動物生息調査です。建物内部におけるコウモリ生息・繁殖のための室内改善(2009年、2013,2017モニタリング)なども含め調査。通年生息種6種、不定期生息種5種など建物内の状況と合わせ調査結果を報告しています。

 この報告は①に続く同じ場所での事例の報告です。以前、軍の演習場であった所の建物におけるコウモリの生息状況です。

 

4) Biotopverbund fur gefahrdete Tierarten(危機に瀕する動物種のためのビオトープ網)   

 著者;Christian Beckmann  連絡先:christian.beckmann@lanuv.nrw.de

  既に1990年代から「ビオトープ網計画;Biotopverbundplan」の重要性は指摘されており、連邦自然保護法20,21条はじめNRW州の自然保護法8,10,35条でも明確にされ下位計画でもネットワークの重要性は指摘されてきています。2016年のNRW州計画(Landesentwicklungsplan)でも州レベルの諸計画と関連付けたビオトープネットワークが示されています。それに基づいてデットモルト地方(Regierungsbezirk Detmold)ではモデルプランが作られています。2017年までにアマガエル類の生息環境保護、チョウ類の生息空間保護のための事例地区検討(郡レベルで)が進められています。この報告はその要旨です。

 

5) Auf der Suche nach Flache- Kompensationen in Bochum(Bochumにおける代償用地探し)   著者;Dr. Peter Gausmann  連絡先: pgausmann@bochum.de

 都市近郊への開発が進んできているルール工業地帯では「自然・環境保全のための代償地」探しが始まっています。これは連邦自然保護法14-15条、NRW州自然保護法30-31条に決められた代償措置、代償施策の取り決めに関連しています。目下、この取り扱いは大変難しい問題・課題となっています。それについてのBochum市を例にした報告です。これについて、森林法との関係、自然保護法との関係から代償措置に対する問題解決の在り方を述べています。

6) Floristische Diversitat  einer ehemaligen Sturmwurfflache(暴風荒廃地の植物種の多様性)  著者;Dr. Bertram Leder     連絡先:bertram.leder@wald-und-holz.nrw.de

 2007年の暴風被害(Kyrill)に合った森林(植生調査地23.7ha;標高320-345m)の植生遷移状況報告です。以前は104年生のドイツトウヒ林であった所で、2008-2015までの調査地の植物調査結果。地形、地質、土壌、気象との関係を調べ、30×30mの方形区252地点設定。結果、木本種/haで5千-2万本区が45%、2-5万本区が20%、種数は118(2008)から175種(2017)に増加、を報告しています。

 

7) Gesellschaftliches Bewusstsein fur biologische Vielfalt in NRW (NRWにおける生物多様性のための社会的意識) 著者:Andre Seitz    連絡先:andre.seitz@mulnv.nrw.d

  ドイツでは2009年から2年おきに生物多様性や種の保護、エコシステム、生息域の多様性から遺伝子の多様性までについての国民の意識調査をしています。この報告では、最初に国レベルの意識について述べ、次いでNRW州の住民の意識について報告しています。

 

 

化石展示と昆虫展示

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 7月14日(土)東京・紀尾井町にある城西大学水田三喜男記念博物館大石化石ギャラリーを訪れました。なぜ急に化石博物館?と問われるかもしれませんが、その伏線はやはり私が生まれた田舎に関係があります。岐阜県揖斐郡池田町、その南に接して金生山があります。昔は岐阜県不破郡赤坂町、今は大垣市赤坂町。現在も石灰岩が産出される山で、かなり昔から石灰工業や大理石工業が発達しています。それに加えていろいろな化石が産出する山として世界的にも有名です。

 石灰岩の中には大理石も含まれ、石灰工業と並び大理石工業も盛んでした。金生山の山容は、その昔、私の子供時代と比較すれば、かなり大きく変わり果てています。子供時代に山を登って北側から金生山の寺社(真言宗明星輪寺;虚空蔵菩薩や金生山神社)に参拝できましたが、今はその山も寺院の南側部分だけを残していますが、周りの山の部分は石灰岩の採掘が進み山肌が大きく抉られ、昔の緑の山容の面影はありません。

 金生山を構成する岩石は白亜紀ジュラ紀石灰岩で、全国的に良く知られた化石の多く出現する山です。いろいろな化石(有名なウミユリ、フズリナなど;山の中腹に化石博物館がある)が見られます。小学校の遠足でその地を訪れ、道端の石に小さく細かなフズリナの化石が含まれていることを知りました。あれから、何十年と経って家族を連れ博物館を訪ねたことがありますが寺院は昔のままでしたが、周りの山の様変わりには驚きました。

 そんなことも関係しているのでしょうか。小学生の孫が化石に興味を持った時、首都近郊で化石を見ることになりました。国立科学博物館もありますが、インターネットで調べたら都内の大学に併設された化石ギャラリーのあることが分かり、早速訪れることにしました。その名は、城西大学水田記念博物館・大石化石ギャラリー紀尾井町キャンパス3号棟地下1階)です。大石道夫東京大学名誉教授および中国遼寧省古生物博物館からの寄託・寄贈を受けた200点におよぶ実物化石標本が保管・展示され研究・教育に供されている様です。

 このギャラリーには、大石コレクションとしてブラジル、レバノンで採集された約1億年前・白亜紀*の魚類化石、アメリカ、ヨーロッパ(主にドイツ)の古生代**の魚類化石を中心に昆虫、植物、甲殻類などの化石が沢山ありました。特にドイツ(シュベービッシェ地方)産の化石は、私が初めてドイツに行った地域(1973-4年;ドイツシュベービッシェ地域ブラウボイレン町のゲーテ・インスティテュートで4ヶ月過ごした)でもあり懐かしい思い出が蘇りました。大変種類も豊富で素晴らしいコレクションを静かな雰囲気の中でじっくり堪能できました(孫より自分が満足し感動しました(後の写真)。

 化石の中に、蟻や蟋蟀など昆虫の化石もありましたが、実物を見ようということになり、丁度この日からオープンした、東京大学総合研究博物館の「珠玉の昆虫標本」と銘打った収蔵品公開展示に足を向けました。

 地下鉄丸ノ内線本郷三丁目駅から歩いて5分、東大本郷キャンパスの最南端、懐徳門から直ぐの所に煉瓦造りの総合研究博物館はありました最初の写真。 

  こちらの展示も素晴らしいの一言です。「好きこそものの上手なれ」の諺通り、時間を掛け世界や国内を駆けまわり集められたそれぞれの昆虫達。江戸時代から現在まで14人(武蔵石寿;1766-1861、佐々木忠次郎;1857-1938、箕作佳吉;1858-1909、加藤正世;1898-1967、山階芳麿;1900-1989、五十嵐邁;1924-2008、江田茂;1930-2008、須田孫七;1931-2018、石川良輔;1931-  、尾本恵市;1933-  、濱正彦;1935-2012、宮野浩二;  白石浩次郎;1941- 、岸田泰則;1949- )がそれぞれに蒐集した昆虫の標本が展示されていました。チョウをはじめ ガ、トンボ、オサムシ、セミ、ハチ、ゴミムシ、果てはアリまでそれぞれの昆虫を雌雄や幼老は当然として、地域個体の違い、採集場所や季節・年の違い等々、その数は膨大に上り、しかもきちっとした展翅、ラベル表示され標本箱に納められいます。案内書には東大博物館の所蔵する秘蔵コレクション50.000点を公開しているとありました。展示方法は、標本箱が壁に沿って縦に足元から天井近くまで隙間なく吊り下げられており、それはそれは筆舌に尽くし難い展示の様相でした(写真参照)。展示の全体風景に驚くばかりで、個々の昆虫の内容の詳細は、身の丈の周り以外は見ることが出来ませんし、細かいものはルーペ無しで見ることは出来ません。実物、本物の色や形の多様さに驚くのは当然ですが、とにかく蒐集家の尋常ならざる意欲と行動の弛まぬ遂行・努力には敬服するほかありません。   展示公開は10/14まで開催・入場無料 

 化石でも昆虫類の存在を知り、実物・本物の標本展でもその多様性を知ることが出来ました。

 何億年前から連綿と続く生物の存在、地球環境の途方もない長い歴史、生き物の存在。そして今、これからの地球の在り方、一個人の自分の存在、どう捉えて、何を考え生きるか、分からないことばかりの行く末を感じる日になりました。

 

 

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    (写真左側;城西大学大石化石ギャラリー   : 写真右側;東大総合研究博物館秘蔵昆虫コレクション)

参考;

* 白亜紀地球の地質時代の一つ。約1.45億年~6.6万年前ジュラ紀に続く時代。石灰岩から成る地層でなる呼び名。温暖で湿潤な気候が続き被子植物が主流、

** 古生代約5.42億万年~約2.51億万年前。デボン紀は魚類が生息。サメも出現、石炭紀には爬虫類が出現。

追記;東大博物館「珠玉の昆虫標本」URL;http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2018konchu_description.html 紹介記事より。

 日本の昆虫学は東京大学に端を発し、様々な学術分野や研究領域に枝分かれして今日に至ります。この学問の発展には専門機関の研究者だけでなく、むしろ在野の研究者の貢献も大きいところです。 (中略)

 本特別展では、東京大学総合研究博物館に収蔵されている約70万点の昆虫標本のうち、日本の昆虫研究史の源流ともいえる学術標本から現在に至るまで継続的に収集、研究されてきた秘蔵コレクション約50.000点を一挙公開。この中には約200年前の江戸時代に製作された日本最古の昆虫標本、近代養蚕学の父、佐々木忠次郎やミツクリザメで知られる箕作佳吉の明治~大正期の昆虫標本、昭和初期に採集された鳥類学者の侯爵・山階芳麿の昆虫標本、ブータン国王陛下から贈呈されたブータンシボリアゲハ、昆虫学史上に名を連ねる加藤正世、五十嵐邁、石川良輔のコレクショウなどが含まれる。  以下略・・・