水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

今年は早い刈込作業    身近な緑   その3

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 不順な天候が続く2018年の5月ですが、いかがお過ごしでしょうか。大変暑い夏日になりそうな日があったかと思うと、朝夕一段と肌寒く、日中でも15度前後の曇り空の日があったりして気温の変化について行くのが大変です。季節の変化も異常な陽気に惑わされるように、10日から2週間ほど早く変化してきているようです。それにも地域差があるようで、今年は季節の花もきちんとした時期に満開を迎えている様子がありません。薔薇の花の満開は5月連休明け位と思っていましたら、今年は盛りを連休中に過ぎてしまったとの声も聴きました。草花も大変なようです。

 我が家の垣根も御多分に漏れず例年になく新芽の成長が早く、こんもり茂ってしまいました。例年では旧盆の前に垣根刈をするのですが、今年は蒸し暑くなって「むさくるしくなる前」5月3週目に実施しました(昨年は8月上旬でした。ブログ「身近な緑」2;2017.8参考)。

 垣根刈では目印や物差として糸を引いたりする例があるようですが、私はこれまで目だけを頼りにやってきました。小さい子供時代から生家の周りが生垣で囲われていましたので、旧盆会の前には父親を先頭に家族総出で垣根刈をするのが常でした。その甲斐あって垣根刈の技術を幼くして身に着けることが出来ました。この技は大学で造園の教員になってから、より大きな効果・成果を産むことになり、造園・庭園実習では学生に何の抵抗もなく実技を披露し教えることが出来ました。

 刃渡り25cmほどの刈込鋏(全長70cm位)を使って垣根に向かうのですが、この鋏仕事は初めてやると次の日には腕の筋肉痛に襲われます。動き自体は単純ですが刈込鋏を繰り返し、チョキチョキ何度も反復するため腕、肩、胸の筋肉が痛くなるのです。最初は表の縦の面、次いで上の面(平面)を刈り込みます。

 刃先で新芽や新枝の部分を刈込み大体の面づくり(概略的に線を出す;荒刈り)をし、「刈込・離れて見通し」、「また刈込・見直す」の繰り返しです。不思議なもので刈り込みが進むと次第に直線(面)が浮かび上がってきます。仕上げは、その段階からさらに刈込鋏で少しずつ「面と線」を意識しながら刈り込み、直線と均平面を出します。

 ドウダンツツジは花と紅葉の両方の美しさを味わうことが出来ますが、両方を得るのはなかなか大変です。何故かというと花を見るためには新芽が固まって早く剪定をし、新枝が秋までに充実し次の春に咲く花芽を付け充実させなければなりません。一方、紅葉の美しさを味わうためには、できるだけ遅く刈込み、刈り込んだ後の柔らかい新枝の状態で秋から初冬の冷気に晒すことが美しい赤い紅葉を生み出すうえで重要です。夏前に刈り込むか夏過ぎに刈り込むかの違いがこの点にあります。

 今年の垣根刈は2度を計画し、秋、美しい紅葉を得ようと計画して取りかかっています。第一回目の刈込は終了しましたが、これからどうなりますやら。体に鞭打って頑張ります。

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