水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

NRWの軍演習場跡地 その1

NRW州の機関誌記事つづき

この演習林の名称はHaltern、西側地区はLavensum地区はBorkenberge,両地区とも動植物保護地区(FFH;Fauna-Flora-Habitat- Gebiet;180ha)並びに欧州野鳥保護地区(EU-Vogelschutzgebiet)に指定され、両地区の半分くらいは自然保護地区(Naturschutzgebiet)にもなっています。さらに両地区を挟んだ低地地区には別の自然保護地区と野鳥保護地区があります。面積は全体で3000haにも及ぶと記されています。

 もともとこの地区ではドイツ屈指の有名大企業クルップ社が1873年大砲生産地の試射場として使用していた場所のようです。1930年代、東地区は飛行場としても使われたとあります。戦後1945年以後はイギリス軍の演習場として使われてきました。しかし2015年の終わりには演習場としての利用が終了し現在に至っています。

この間に地区内で自然環境調査が行われ(2009,2011報告あり)、貴重な動植物種、歴史的、伝統的なハイデの文化景観、生物多様性の重要性が指摘されてきました。今、最も価値の高い自然と文化の歴史的遺産として注目されています。 この地区の動植物の価値の詳細は雑誌参照。

道東の旅 PART5

 ホテル知床は今年5月の連休を挟んで2週間ほど根室に滞在した折に、1泊2日で訪れたホテルです。今回は根室を訪問する前に、5月に行けなかった所を中心に巡り、旅を楽しみました。このホテルを選んだ理由は朝夕のバイキングにありました。このホテルのイクラ食べ放題に魅せられて予約をしてしまいました。その後で、同伴者?はテレビ番組に登場した海辺の素敵なホテル「知床グランドホテル・北こぶし」に泊まりたいと言いましたが、ことすでに遅しでした。

 この日は大学時代の研究室卒業生を訪ねて知床五湖を巡る一日。朝9時、その人は車でやってきました。その人とは藤川友敬君、現在、知床ネイチャーオフィスでガイドとして働く一方、動植物や自然景観を対象とした写真に打ち込んでいる人です。彼の案内で最初に知床五湖フィールドハウスへ行き、五湖の自然探訪前に公園内での行動のレクチャーを受けました。それから彼の案内で五湖巡り(数字を逆に辿って)。まずまずの天候に恵まれ知床連山もくっきり、湖に移る景色はまだ紅葉には早かったのですが、鏡に映ったような風景に何度もシャッターを切りました。最後の一湖の木道には驚きました。初めは木道の長さといい、高低差、素材、ルートの形といい、周りの景観と不調和?と思いましたが歩いているうちに地区全体の景観(スケール、方位、植生)に合った違和感のない施設であることを理解しました。四季を通じて大変多くの観光客が訪れる知床五湖(中でもフィールドハウス近くで団体の来訪が多い一湖の木道地区)で特徴ある施設といえます。

 時間を十分にとって五胡を巡り、お昼近くになりました。ウトロ地区に戻り中心部のペレケ川を覗きに行きました。なぜ? 何故って、この時期オホーツク海といえば秋鮭やカラフトマスが産卵のために川を遡上する時期です。覗いてびっくり、(玉手箱)。ものすごい数のカラフトマス。清流が真っ黒というほど群れを成して川を上っていました。ウトロの海辺の地形は海岸から直ぐに斜面が急になり、川も短く川幅も広くなく急流です。そのため、鮭やカラフトマスは一斉に多量に川を上っていました。

 お昼ご飯は川近くの有名店「一休屋」、鮭の親子丼と4匹のエビフライ定食。十二分に堪能、満足のお昼で満腹になりました。

 午後も藤川君の案内で知床の原生林の中を歩きました。男の涙、象の鼻など海と断崖と原生林、そして知床半島先端部の遠望、大変感激する景観ばかりでした。

 彼にホテルまで送ってもらい一日が終わりました。夕食バイキングではもちろんイクラ丼も食べました。

専門誌「Natur in NRW」の紹介

専門誌「Natur in NRW」の紹介

この雑誌はNRW(ノルトラインーウエストファーレン)州の機関(Landesamt für Natur, Umwelt und Verbraucherschutz NW)の季刊誌です。「自然・環境保護・消費者保護庁」と訳すのが適当でしょうか。最新号の主要テーマは、戦後永くイギリス軍の演習場として使われた場所が「国際的な価値のある自然遺産」として調査、検討を始めたという記事です。自然立地的に特徴ある乾いた貧栄養の土地に生育するヒース(エリカの生育するハイデ)が生育し自然資源い高い価値を有する3300haの広大は場所です。「Westfalens Wilder Westen」と名付けられたこの土地は、州当局はすでに資源調査や所有者対応に入りMunster 地方の自然保護地、EUの鳥類保護地として計画しています。ほかの特集記事は、ヌートリアの問題、工業地区樹林化プロジェクトその後、などがあります。詳しくは後日報告します。

 

道東の旅 PART4

北海道の旅行記  第4

 硫黄山を出て車は網走を目指して走り、藻琴峠を目指しました。その途中の藻琴峠には休憩所、展望台があり、そこからの見晴らしは素晴らしく、屈斜路湖や阿寒の山並みが見られました。午後の日差しが西に傾き、屈斜路湖の湖面に輝き、周りの原生林は静かな佇まいで良い対称になっていました。

 車は一路、北の大地を走り大空町小清水町を通って網走市を目指して走ります。大空町の大地は広大は丘陵地。大きくうねった大地の地平線はなだらかな線を見せて何処までも畑が広がり、玉ねぎやジャガイモの収穫が終った跡は寂し気な表情を見せていました。

 網走の宿は網走湖鶴雅リゾート「北天の丘」。大地の上に聳え立った高い建物で素晴らしいホテル。リラックスルームの素晴らしさ、お風呂と湯上り休憩コーナーも良し、それに食事も大変満足できる内容でした。

 

 次の日、朝早く目覚めて部屋にあるベランダから外を眺めると、そこには網走湖の上に広がった霧が雲海の様、朝日を受けて白く輝いていました。

 今年は例年になく珍しく北海道に台風が来襲し、かなりの雨が降り彼方此方で浸水騒ぎが起き、ところによっては大きな被害が出ました。ここ網走ではオホーツク海にそそぐ河川の水が増えて濁り、鮭の遡上に大きな影響を及ぼしていました。水嵩が増し茶色く濁った水では鮭も遡上を止めてしまいます。そんなことで網走、斜里では鮭の遡上は見られずじまいでした。網走湖の南、能取湖畔にはサンゴ草で有名な場所がありますが、そんな状況下で判断し見に行くことを断念し、先を急ぎました(次の日の朝刊に一面真っ赤に生育したサンゴ草の写真が出てガックリ)。

 小清水町原生花園も有名ですが、この時期、既に花園の野生の草花は盛りを過ぎてほとんど見られずじまい。でも幹線道路に沿った鉄道の小さな駅(原生花園駅)の海岸線は浜に寄せる波頭が白く、遠くに知床連山を控えたダイナミックな景観は素晴らしかった。

 今年5月の連休に来て宿泊したホテル知床に落ち着いたのは夕方の5時近くでした。

道東の旅 PART3

4日目 9/11

 待ちに待った晴れた日。心ウキウキ、ハンドル握る心も軽く(どこかで聞いた歌の文句みたい)車は一路、計画で見れなかった摩周湖を目指して。阿寒湖から弟子屈へ向かう山岳道路沿いの2つの展望地点をチェック。双湖台、双岳台。残念ながらいずこも2つの湖と山(雌阿寒、雄阿寒岳)は展望台の周りの木々が大きくなっていたり天気がよかったのに山頂は隠れていたりで雄大な景観はお預けでした。車を走らせるほどに天候は回復、摩周湖への登り道では綺麗に晴れました。表摩周湖第二展望台、第一展望台、いずれも大変見事な景観、空も湖水も青く輝き、これほどの絶景をこれまでに見たことは記憶にありません。十分に鑑賞し写真を写し、落ち着いて景観の成り立ちや部分を見ると火山でできたことや日常の自然の厳しさを目の当たりにすることが出来ました。

 風の強さや切り立った地形など別の季節や自然の状況の厳しさが理解できました。

 そこから阿寒湖方向を見ると山肌が赤茶けて部分的に黄色く見える地点が目に入りました。車を飛ばしてその地を訪ねるとそこは硫黄山。黄色く噴き出した硫黄の小山からでるガスは風で頂き方向に流れ、幸いガス噴き出し口近くまで近寄ることが出来ました。昔の教師癖がでて、植生遷移の典型的な事例写真の好材料と、思わずシャッターを押している自分がいました。

 硫黄山を後に網走目指して車を走らせ、藻琴峠で屈斜路湖や阿寒富士を眺め、野菜の畑がどこまでも広がる大空町小清水町を通り網走に入りました。

 この日の宿は、阿寒の宿と同じ系列の鶴雅北天の丘です。宿に入る前、時間があったので北方文化博物館を訪れ北の国の文化と歴史を学びました。大変すばらしい博物館、展示内容、方法いずれも充実しており満足のいくものでした。

 宿も素晴らしくお風呂(露天風呂も)も食事も★5つでしょう。

 

道東の旅 PART2

北海道道東の旅 2日目:

 9/9前日の台風の余波、低気圧の影響で朝から雨、当初計画していたプログラムを急遽変更。当初は養老牛から裏摩周湖展望台、神の子池、表摩周第一、第二展望台を経て弟子屈に向かい、阿寒湖を目指す予定でしたが、あいにくの雨天のため、計画を変更し遅めに宿を出発、弟子屈町へ直行、当地の農協で簡易雨傘を買って阿寒のホテルを目指しました。少し早い宿到着でしたがチェックイン。鶴雅系列の「鶴雅花の香」に投宿。

 午後から夕方に時間があったことと雨降りのため、近くの阿寒国立公園ビジターセンターを訪れ自然と文化を勉強、展示の仕方や内容に感心しました。
阿寒湖畔に鶴雅系のホテルが3-4軒、「悠久の里鶴雅」の温泉に入りにホテル専用バスで。日によって男女の風呂が交互に入れ替わる変わったシステム。幸い2泊するのでどちらも体験できました。屋上の露天風呂も1階の風呂もいろいろな種類があり満足でした。この男女日替わり露天風呂のシステムは面白い方式でした(1泊では片方しか体験できない)。

3日目:9/10

 やっと晴れ間の見える阿寒湖畔。朝湖畔を散歩、ヒンヤリと肌寒さを感じる陽気。朝食後、遊覧船に乗り湖一周。この中にはマリモを保護育成する特別な小島があり見学、それを含めて1.5時間の船旅でした。次第に晴れ行く阿寒周辺の天候に安心と満足をしながら景観を楽しみましたが雄阿寒岳雌阿寒岳は見えませんでした。

 ビジターセンターから延びる散策路を歩き、源泉沼(ボッケ)や啄木の句碑、樹林を見てからカムイコタンの街区を見学、アイヌ彫刻製品を記念に買ってから教えてもらった雌阿寒岳の麓のオンネトーへ車を走らせ雄大な景観を堪能しました。

夜は前日同様、温泉に浸かり露天、室内のお風呂を満喫しました。

 

道東の旅 PART1

 9月の8日から道東地方を2週間にわたり旅をして来ました。中標津空港に降り立ちレンタカーを借りて各地を見て回る旅です、
最初は中標津の開陽台で雄大な景観を満喫、夕方、養老牛の湯殿だいいちに。
 今回の旅は最初から不安で一杯でした。何より台風13号が東京を襲う様相で飛行機が欠航したらどうしようかと不安で寝られず、どうやら飛び立った時は嬉しくなりました。
 川沿いの露天風呂、食事は良かったしロビーでの餅つきの出し物に参加し搗いた餅はぜんざいや黄な粉餅でたべられ大いに満足しました。
 川の流れの音を聞きながら夢路につきました。第一日目はこんな有様でした。

文献リスト(2012年~2014年)

[360] 勝野武彦,2012,自然再生の本質と課題,「GREEN AGE」(日本緑化センター),39巻4号,2-3

[361] 小木曽裕・島一喜・岩田樹・大森繁・嶋村仁・石井ちはる・勝野武彦・濱野周泰,2012,レーベンスガルデン山崎(建替・環境共生住宅)屋外計画設計,造園作品選集2012,11号,72-73

[362] 勝野武彦,2012,農村の緑地空間における生物多様性と文化景観,農村計画学会誌,31巻1号,p58

[363] 勝野武彦,2012,湘南キャンパス花壇装飾実習とキャンパス整備,農学校友会会報,13号,p.6

[364] 黒田貴綱・渡辺原野・菅沼拓也・勝野武彦,2012,屋上緑化植物としてのナワシロイチゴの初期生育に関する研究,日本緑化工学会誌,38巻1号,224-227

[365] 芦澤航・大澤啓志・勝野武彦,2012,三浦半島の河川源流部におけるツチガエル幼生の越冬期の利用空間,環境情報科学学術論文集,26号,335-338

[366] 黒田貴綱・小島仁志・勝野武彦,2012,富士山西麓草原における野焼き管理とネズミ類の生息状況に関する研究,環境情報科学学術研究論文集,26号,351-356

[367] 黒田貴綱・小島仁志・勝野武彦,2012,朝霧高原における異なる土地利用形態と野生ネズミ相との関係,富士学研究,9巻2号,7-10

[368] 天白牧夫・大澤啓志・勝野武彦,2012,濃尾平野における水田タイプ別のカエル類の種組成,ランドスケープ研究,75巻5号,415-418

[369] 七海絵里香・大澤啓志・勝野武彦,2012,谷津田域における「萩」の生育特性,ランドスケープ研究,75巻5号,427-430

[370] 大澤啓志・勝野武彦,2012,自然空間の計画,『農村計画学』(千賀祐太郎編)朝倉書店,64-69

[371] 七海絵里香・大澤啓志・勝野武彦,2013,伊豆半島松崎町における桜葉畑景観の成立過程,ランドスケープ研究,76巻5号,443-446

[372] 黒田貴綱・勝野武彦,2013,希少種ミズニラの保全・管理に向けた基礎的な生育特性把握,環境情報科学 学術研究論文集,27号,17-20

[373] 芦澤航・大澤啓志・勝野武彦,2013,谷戸におけるツチガエルの産卵場所選択,環境情報科学 学術研究論文集,27号,33-36

[374] 田中秀樹・大澤啓志・勝野武彦,2013,田瀬理夫の作品におけるエコロジカルなランドスケープデザインの特徴について,平成25年度日本造園学会関西支部大会研究・事例報告発表要旨集,35-36

[375] 元良文昭・大澤啓志・勝野武彦,2014,都市近郊農村の花による修景活動の意義と課題,2014年度農村計画学会春期大会学術研究発表会要旨集,32-33

[376] 七海絵里香・大澤啓志・勝野武彦,2014,八溝山地南部における漆掻き林の分布および林床植生の特徴,ランドスケープ研究,77巻5号,593-598