水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

新しい時代、変わらざるを得ない世界

 令和2年、新しい元号で丸1年たった時、それは100年振りという世界を巻き込んだ感染症の大流行で世界が一変してしまいました。思いもかけない時代に突入しています。

 

 ペストの流行は1348-1420年、中世の欧州で起こったとされています。4.5億人感染、うち1億人程死亡。600年前のことです。スペイン風邪(1918)は100年前に流行し4000万人が死亡、SARS重症急性呼吸器症候群(2002)、MERS;中東呼吸器症候群(2012)そして今回の新型肺炎コロナウイルスです。すでに人獣共通感染症とは長い歴史があり、多くの感染者、死者が歴史の中に出ています。今回の世界的流行はどんな結末を見せるのでしょうか。人の寿命は延びていますが100年で世代が変わり大流行の体験者は皆無でしょう。流行の拡大は事、物、情報の量、流れの速さで地球の小ささを教えてくれました。今日では2-3か月で世界に蔓延する時代になっているのです。 

 

 今回のコロナウイルス禍では、三蜜(密集・密接・密閉)の禁止により外出の自粛、芸術・文化の催事、スポーツ娯楽の中止が続いています。大学の新年度、新学期開始、入学諸行事もすべて中止になりました。大学も公立の小中学校同様、5月一杯休校の対応がとられています。大学でも講義や演習をどのように進めたらよいか、いろいろ試行錯誤して進められてきています。AIを駆使したWeb授業の試行、施行が進められてきています。

これまでの講義や演習の方法と全く異なった様式のため、その実施方法や内容の具体的展開には困難な点も少なくなく、教える側も教わる側も戸惑いが続いています。

 

 久しぶりに大学の研究室を訪ねました。そこで目にしたものはWeb方式による演習の様子でした。PCや携帯スマホを使った演習の実施状況を直接、見聞きし拝見することに出くわせました。ほとんど何の違和感もなく、10人ほどの学生を相手に教員との間での「自主研究の課題決め、進め方に関する演習」でした。教員・学生のそれぞれが個別の空間(居場所)で共通の話題について討論をする時間になっていました。この方法には、指導し誘導する教員側の能力・技量に成果の良否がかかってくると感じました。

これまでには全く考えられなかった演習様式です。一堂に会して同じテーマについて議論をする従来の方式は、無理な状況下です実質的には、AI機器を介して同じテーマについて議論;進行は指導教員。学生も教員も今後の講義・演習には、これらの体験・経験を通して発展していくんでしょうね。

 

講義、演習のWeb方式実施には、いずれも10名以上になると問題や課題が多い、とは教員の指摘でした。従来の教員側からの一方的なやり方の演習と異なります。学生個々人の顔がクローズアップされるこの方式で、学生は自分の考え・意見を言うこととなり、テーマに真剣に向き合い表現しなければなりません。その点では両者間に緊張感が出てきます。

 これに慣らされた学生は、今後、大学や講義などの在り方に対してどのように対応していくのだろうか。教員との関係をどう考えていくのだろうか。

そして研究室はどうなっていくのだろうか、と考えさせられる。研究室訪問でした。