水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

海外雑誌でのニュース  2

ニュース 1でお話しした続きです。私はこの雑誌を1993年から読んでいますので今年度で 25年目になります。1997年No.4(冬号)の最初のページに「1998年の鳥」として「ヒバリ」が指定になった記事が載っています。ドイツ自然保護協会(NABU;Naturschutzverband Deutschland)は、農業が機械化・化学化する中で作付・耕作形態も変わり、耕地の単調化、大規模化、均一化が進んで農村景観の単純化、単調化が起っていることに警鐘を鳴らしていました。ドイツでも詩や歌に登場し、誰もが親しみをもつ身近な田畑や草原の鳥として、また元気に空高くさえずり登る鳥、そのシンボルとして「年の野鳥」ヒバリを決めたのでした。

 畑や草地の野鳥保護については、その後、2009~2011年の同誌(下記)に農村における種の保護、種多様性に対する農地の取り扱いと野鳥(ヒバリ、タゲリ、)に関する調査・研究報告が続いています。

 1) Foerdermassnahmen in der Feldflur,  同誌、No.3. 2009 

 2) Fast 9000 Fenster fuer die Feldlerche 同誌、No.1. 2010;  フェンスター(窓 Fenster)とは畑の中に作目 を作らない場所を設け、野生の草本の生育する場所とするもの    (下の添付写真参照)

   3) 1000 Fenster fuer die Lerche - Ergebnisse der NRW-Erfolgskontrolle 同誌、No.1. 2011 

   4) Die Feldlerche - Ein Allerweltsvogel auf dem Rueckzug 、同誌、No.1 2011

 

  国民的になじみ深い野鳥の「ヒバリ」の保護、保全、再生に時間をかけ、人々の関心を喚起し、農家と協同で復元の対策を講じてきているドイツの着実な歩みが見て取れます。それをさらに大きな波とするべく、2019年の鳥に再度指定し、自然保護の視点だけでなく農業も抱き込んだ幅広い運動として、身近な農村の緑と自然の保全(種の保護と生息空間の保全・再生)、景観保護の活動を活発化しようとするドイツの自然保護の動きには目を見張るものがあります。                  

  1/23付読売新聞の夕刊、「よみうり寸評」に似た記事がありました。国鳥や黒蝶、国花に続いて国魚についてのものでした。ドイツの「その年の鳥」とその関連の分野、社会的な意味と広がり、とは違う取り扱いに、少し寂しさを感じました。

 

ドイツ・ノルトライン・ウエストファーレン州でのヒバリ保護施策の状況 (上記参考文献参照)

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