水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

映画「風をつかまえた少年」

 またまた、面白い実話に基づく映画を見ました。その題名は「風をつかまえた少年」です。

 世界23カ国で翻訳され感動を呼んだ実話(原作:ウイリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミュラー;the Boy who harnessed the wind;風をつかまえた少年:文芸春秋刊)は日本でも出版され(2010)大いに話題になり、そのノンフィクション映画がイギリスとマラウイ合作で作られ(2018)日本で公開されています。映画は第69回ベルリン国際映画祭(2019)他でも上映され、アメリカ・ニューヨークでの試写会では名女優アンジェリーナ・ジョリー(UNHCR;国連難民高等弁務官事務所特使)からも絶賛された、とあります。

 映画の舞台はアフリカ・マラウイ。2001年に襲った大旱魃、それ以前からも水不足に伴う農作物(トウモロコシ)栽培が困難で食糧危機、飢饉が起る危険性が高かった。そんな中、学ぶことや機械いじりが好きな少年ウイリアムは学費が払えず退学を言い渡されますが内緒で図書館通いをし、ひょんなことから風力エネルギーに興味を抱き、独学・独力で風力発電の装置を作り出し、実際に発電に成功します。以前から電気やラジオ、自転車の発電などの分解・修理を通して多少の知識と体験があった彼には、風力発電装置作りは大きな夢の実現でした。彼の向学心、研究心は周囲を動かすこととなり、その後、南アフリカからアメリカ本国で勉学(環境学)を続け、2013年には「世界を変える30人」にも選ばれています。国を動かし地域や町・集落を良くしたい、学ぶ機会や場所の充実を図りたいと活動を続けています。この映画は、実際の物語を題材に難題に屈せずひたむきに学ぶ姿や過酷で壮大な自然の下での家族愛の大切さを描いています。

 この映画は、文部省特選、文部省選定の映画に指定されていて、子供時代、小学校から皆そろって映画を見に行った時代を懐かしく思い出しました(二十四の瞳や椎の実学園など)。

 実話であることとも合わせ、物語以外にもアフリカの大地の自然や景観、今も苦闘する人々の営みを垣間見ることができ、大いに感動した素晴らしい映画でした。

 鑑賞後、我が身と合わせて「過剰」の世界で足りなくなっているもの、無くしつつあるものと「不足・欠乏」の世界にある根源的なもの、について考えさせられています。