水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

庭木切り倒し

  先日来、暖かな日が続いています。我が家の小さな庭もいろいろな樹木や草花が春を告げて咲き誇り、若葉の芽を動かし始めています。小さな狭い庭も実生から育てると空間的に心配することなく、小さな木々の成長を楽しみにして過ごしてきました。

   この地に我が家を建ててからもう40年以上になります。最初の庭木は、大学の圃場にあった小さな10cmほどのヒメシャラの苗。狭い我が家の庭の境に植え垣根にするはずが大きく太く伸び、今では地際の直径が10cm高さ4mの目隠し木です。同時に実生のアラカシも同じ、こちらは目通り直径が20cmの高垣にもなって2階の目隠しになっています。家の南の境にはドウダンツツジの垣根、毎年夏に刈り込んでいます。家を得て最初に調査で出かけた千葉の里山からヤマザクラの実生を持ち帰り植え、それが時を経て目通り直径20cm、高さ6mに成長し、毎春美しい花を見せてくれていました。隣家から落ち葉や日陰で苦情が出て、10年前、思い切って地際から切り倒しました。次の年、根元からひこばえが出て、それが現在の2代目ヤマザクラです。高さ5m、目通り直径15cm、4~5月に見事な花を咲かせてくれます。でもこのヤマザクラも今年で最後、秋には切り倒し3代目に譲ることにしています(上手くひこばえが出れば)。

 同じように里山生まれの椚(クヌギ)やコナラも我が家では実生から育て成長を見てきました。コナラも10数年前に大きくなりすぎ、知り合いの造園業者に高所作業車を使って切り倒しました。夏に入る前で葉が良く茂っていて枝切り、幹切り、枝葉の整理が大変でした。

 

 今年は家のすぐ脇に大きく成長したクヌギ(高さ8m)があり、2階を越え屋根の上に出ていました。風雨で被害が予想されるため切り倒すことに決めました。里山薪炭林構成種で、切り倒しても株立ちが容易ですので次の成長が楽しめると思っています。最初は自分で木に登り、上から枝を整理し順次幹を切り落とせるだろうと考えましたが、家の者に歳も歳だから危ないから専門家に任せなさい、と言われてしまいました。

そこで、研究室を卒業し造園業を営んでいる宍倉君に頼むことにしました。最初、高所作業車の利用を進言しましたが、春先の季節、葉の無い落葉樹で2階程度の大きさ、ということで長梯子(8m程)、4m梯子、脚立になりました。枝先が屋根を越すようなクヌギ、長梯子で先の枝から切り落とし、枝が無くなってから順次、幹を切りました。40-50cmの長さで切り落とし根元から30cmまで切りました。上手くいけば地際から”ひこばえ”が数本出て武者立ちの形を作ってくれるでしょう(生きて見れるなら見たいですが)。

 幹を切り落として、地上60-70cm位に及んだ時、切った幹から大量の「水」が滴り出て驚きました。その前に頂部の枝を切った時、未だ葉が出ていないのに想像以上に重たいので訝しく思っていましたが、この時期落葉樹では芽を動かし葉を展開させるため、沢山の水が要ること、そのため樹幹を通って大量の水を運んでいるのだ、と理解しましたが、その量と勢いには驚きでした。

 それやこれやで2時間ほどの切り倒し劇場は終了。さっぱりはしましたが、止まり木で利用しているシジュウカラは、営巣期を前に驚いていることでしょう。今年の夏は窓辺に緑の葉影が無く暑さを実感すると同時に、いかに樹木の緑が暑さを和らげるか、実感することになるでしょう。

 

 

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