水と緑と自然、それは「にわ」

都市や農村における緑地の在り方、自然環境の資源とその保全、「にわ」の設計と維持・管理

里の風景に春を求めて

 町田市にある広く大きな緑地、そのうちの一つ小山田緑地に春を求めて出かけました。小山田緑地は計画面積146ha、内44haが二次林や広場を中心として公開利用されています。

 丘陵部や斜面樹林はクヌギ・コナラを中心とした雑木林、シラカシ、アラカシ、スギ、ヒノキを中心とした常緑樹が混ざった里山は、この時期、落葉樹の芽吹きが大変美しく、色々な若葉の色が楽しめます。若草色、萌黄色、鶯色、深緑色、暗緑色それらが混然一体として丘の緑を構成しています。常緑広葉樹の萌芽時は春先、秋の落ち葉の如く古い葉を落とし散ってきます。クヌギやコナラの花も花穂を散らし地上に降ってきます。木の上層部では花や葉が競っていますが、地上でも林床に陽射しが届くうちに、花を咲かせ実を付けようと色々な植物が生を謳歌しています。多くの種があるスミレ類は、夫々の形で葉を展開し個別の花や葉の色・形を見せています。

 谷筋の低地、以前は湿地や田畑が占めていたのでしょうが、公園になってからは色々な広場として、スポーツやレクリエーションの場所として青々とした緑の草地が広がっています。

綺麗に刈られた草地の管理は大変だろうと思いながら里山の林を巡り散策しました。今回の来訪目的の第一は、里山に極めて珍しく希少になってしまっているコケリンドウ、フデリンドウ(Gentiana squarrosa, G. Zollingeri)の生育・開花がみられるとの情報を得てのものでした。

 両種は陽射しが良く当たり、水はけのよいローム層の土から成る東から西向きの緩斜面や平地に見られました。他の草木が茂る前、生育する空間を他の草種に占拠される前に開花受精し種を付けて増えることが先決です。コケリンドウは草丈も極めて低く、足で踏みつけそうになるくらいです。共に二年生の草本であり淡い空色、薄青色の可憐な花を咲かせます。ここでは明るい緩斜面地に一杯花を咲かせ、種が落ちて発芽・開花したと思われる株が、崩れ斜面の下にも成育開花していました。小さくても「生」を精一杯表現し生きてる姿に感激しました。スミレ類もスミレ、タチツボスミレ、マルバスミレ、ナガバノスミレサイシンなどが競って花を咲かせていました。そんな可憐な花を見つけながら歩くのは楽しいものです。

林床を刈り取り管理するか、しないかで出現植物は大きく変わります。日当たり(日照)がいかに重要な要件であるか、根茎や種がその時を長く待って耐えていることが想像されますし、人為的に行うことが二次林やその林床植物を保つうえで大切なことが良く分かります。もう花を終えてしまったり、まだ出ていなかった野生の蘭類(シュンランやエビネランはじめキンラン、ギンランなど)も同じことでしょう。時期を置かずに晴れた暖かい日に再度、林やその縁を歩いてみたいと思います。 あなたも日がな歩いてみては・・・・

コケリンドウの花